【ライブレポート】ユニゾン結成20周年をSHISHAMO、フレデリック、光村龍哉、バニラズが渾身カバーで祝福
UNISON SQUARE GARDENが12月25日に大阪・インテックス大阪5号館でトリビュートライブ「USG20th Anniversary LIVE FINALE『fun time tribute』supported by FM802 35th "Be FUNKY!!"」を開催した。 【ライブ写真】豪華ゲストに祝福されたUNISON SQUARE GARDEN 今年結成20周年を迎え、東京・日本武道館でのアニバーサリーライブの開催、初のベストアルバム「SUB MACHINE, BEST MACHINE」のリリースなど精力的な活動を展開してきたユニゾン。今回のライブはアニバーサリーイヤーの締めくくりとなる公演で、彼らと親交の深いSHISHAMO、フレデリック、光村龍哉(ZION、NICO Touches the Walls)、go!go!vanillasがゲスト出演し、ユニゾンの楽曲のカバーも含めたパフォーマンスで20周年を祝福した。またライブの合間には落合健太郎(FM802DJ)のMCによるトークコーナーも設けられ、ユニゾンのメンバーとゲストアーティストが互いの音楽について語り合った。 ■ トップバッターはユニゾン「幸せな日になるだろうな」 トップバッターを務めたのはオーガナイザーであるユニゾン。最初に披露したのは今から5年前、今回と同じく大阪で開催した結成15周年ライブの際にリリースされた楽曲「プログラムcontinued(15th style)」だ。斎藤宏介(Vo, G)は2番の歌詞に「耳を塞いだあの日から8000日くらい歩いてて」と5年分のアップデートを施して歌い、オーディエンスから大歓声を浴びた。 MCで斎藤は、この日集まったゲストたちが披露するカバーについて「軽いノリでお願いしてるけど、ユニゾンの曲は普通の曲4曲分ぐらいの情報量が詰まっているので……快諾してくれたけど内心ブチ切れていると思います(笑)」と恐縮してみせ、観客や田淵智也(B)、鈴木貴雄(Dr)の笑いを誘う。しかし「そんな人間力も含めて幸せな日になるだろうな、と思っています」と期待を語り、最新シングル「傍若のカリスマ」を高らかに鳴らした。 ここでMCの落合が登場し、ユニゾンの3人とともにトークを展開する。鈴木は「今日は僕らにとってごほうびみたいなものですね」、田淵は「ロックバンドを20年がんばったことに対して仲間からねぎらいの言葉をかけられたい、というイベントです」とリラックスした様子で今回のライブのコンセプトを語り、ゲストたちのライブを自分たちも会場内で楽しむと宣言した。 ■ SHISHAMOが見せたスリーピースの底力 1組目のゲスト、SHISHAMOは最初に「恋する惑星」をカバーし、宮崎朝子(G, Vo)の涼やかな歌声をストレートなロックアレンジで届ける。さらに3人は2017年に行われたユニゾンの自主企画「fun time HOLIDAY 6」でもカバーした「ワールドワイド・スーパーガール」もSHISHAMOアレンジで披露。松岡彩(B)と吉川美冴貴(Dr)が刻む骨太なリズムに合わせ、観客は3人を称えるように「スーパーガール!」とコールした。 2曲のカバーを終えた3人は「手の震えがすごい!」と緊張が解けた面持ちに。宮崎は「とんでもねえことだよ。ユニゾンみたいなバンドが一番しちゃいけないこと(笑)」とカバーをオファーされた心境を明かして観客を和ませる。そんな言葉のあと、宮崎は「今日のゲストの中では私たちが唯一同じスリーピースバンドですけど、そのよさって全員がストイックにならざるを得ないヒリヒリ感で、ユニゾンはそれを体現しているバンドだと思いますし、憧れと尊敬の気持ちでいっぱいです」とリスペクトを語る。その後SHISHAMOは「最高速度」「夏恋注意報」を力強くパフォーマンスし、スリーピースの魅力を存分にアピール。ラストは「明日も」のアンサンブルを場内に響かせた。 トークコーナーで現れたユニゾンの3人もSHISHAMOのライブを楽しんだ様子でパフォーマンスを絶賛し、田淵は「楽しいこれ! いいイベントだなあ(笑)」と満面の笑顔に。宮崎も合流し「カバー2曲を最初にやったのが正解だったかはわからない(笑)。記憶があまりないです」と振り返る。また、田淵から「恋する惑星」のコードアレンジについて尋ねられると、宮崎は「SHISHAMOがやるなら、というパロディっぽさを加えて。自分の手癖のようなものを入れました」と明かした。 ■ フレデリック、ユニゾンのカバーはマジチョロい? 続くフレデリックのライブは代表曲「オドループ」でスタート。オーディエンスのテンションを高めたところで三原健司(Vo, G)は「次の曲は俺たちがユニゾンが大好きな理由がめちゃくちゃ詰まってる曲です」と紹介し、ユニゾンの楽曲「マイノリティ・リポート (darling, I love you)」のカバーをドロップした。意外な選曲に場内はどよめき、4人が鳴らすダイナミックな音像に酔いしれる。「噛めば噛むほど味の出る音楽をあなたに」という言葉からは「ペパーミントガム」の重厚なアンサンブルでフロアを圧倒した。 途中のMCで健司はオファーを受けたときの心境を「『俺たち(UNISON SQUARE GARDEN)の曲もやってもらいたいけど難しいよ』って。俺らからしたら先輩バンドですよ? これ光村さんいなかったらパワハラですよね(笑)」とぼやいて観客の爆笑を誘う。そして「文句を言いにきたわけじゃなくて、今日出るまでの過程も含めてこのイベントを愛してくださいね」と呼びかけ、「ジャンキー」で再び熱気を高めた。最後はユニゾンの豪速チューン「世界はファンシー」を外連味たっぷりに披露。健司は歌詞を「ユニゾンのカバーなんかマジチョロい!」と変えて歌い、間奏の“ファンタスティック”なギターソロパートでは三原康司(B)、高橋武(Dr)、赤頭隆児(G)が華麗なソロ回しを繰り広げて会場を大興奮させた。 トークコーナーで健司はライブ中の自身の発言を「数々のご無礼を…」と詫びつつ、赤頭の発案で「マイノリティ・リポート (darling, I love you)」をカバー曲に選んだことを明かし「めっちゃいい曲で……ってなんかすみません、上からみたいになっちゃって」と恐縮するが、鈴木から「いいよ、だってチョロいんでしょ?」と真顔で圧をかけられて苦笑い。一方、田淵から「フレデリックは本当に演奏がうまいバンド」と絶賛されると、健司は「田淵さんが言ってますよ!」とホッとした表情でフロアを見渡した。 ■ 光村龍哉×斎藤宏介のチャレンジングなコラボ 今回唯一のユニゾンと同世代ゲストである光村龍哉は「20周年おめでとうございます。そして皆さん、メリークリスマス」と挨拶し、アコースティックギターの弾き語りでユニゾンの「センチメンタルピリオド」を歌う。原曲とは異なるノスタルジックなアレンジに観客はじっくりと聴き入るが、途中にはジョン・レノンとオノ・ヨーコの「Happy Xmas [War Is Over]」を挟むという小粋なプレゼントも届けられた。続く曲のイントロのフレーズを光村が鳴らし始めると、その曲目に気付いた観客からどよめきが起こる。ここで彼が歌ったのはNICO Touches the Wallsが2006年に発表した楽曲「image training」。力強いストロークと圧倒的な歌声で、会場を感動に導いた。 ここで光村に「せっかくなので斎藤くんと1曲やりたいと思います」と呼び込まれた斎藤が「ヤバい!『image training』だ!」と大喜びすると、光村は「昔の曲がいいかな、と思って」と選曲の理由を明かした。そして光村が「一生懸命練習してきました」、斎藤が「このイベントに出る皆さんと同じ気持ちを僕も味わいたい、パッとできないことをできたらと思って」と紹介した曲は、エド・シーランの「Shape of You」。アコギ2本とボーカルのみのシンプルなアレンジに光る2人のテクニックに、オーディエンスからはすさまじい拍手が送られた。 トークコーナーでは同世代の2組が昔話に花を咲かせた。田淵は「年は一緒だけど逆立ちしてもかなわない才能だと思った」、鈴木は「(ドラマーの)対馬(祥太郎)くんは俺から見ても『上だな』と思っていた」と出会った当時を振り返り、光村は「20年一緒に走ってきた、双子みたいな感覚だよね」とユニゾンへの思いを語る。一方、斎藤は「Shape of You」でのコラボについて「ハモリとかあまり作り込まなかったけど、完璧じゃなかった?」と光村との息の合ったパフォーマンスに笑顔を浮かべた。 ■ go!go!vanillasはあの2曲をマッシュアップ 最後のゲストアーティスト、go!go!vanillasは1曲目に「シュガーソングとビターステップ」を投下。ところどころに自らの楽曲「エマ」のフレーズも取り入れるという遊び心たっぷりのアレンジで観客を沸かせた。続いては本家の「エマ」を披露し、場内の一体感をぐんぐん高める。牧達弥(Vo, G)の「斎藤宏介に捧げます」という言葉からは「倫敦」のダークな音像を届け、バンドの多彩な音楽性をアピールした。 牧はユニゾンも出演した今年3月のバニラズの主催イベントを振り返り「いつまでもヤバくて憧れの先輩です。だから呼んでもらったときはすごくうれしかったんですが『僕たち(UNISON SQUARE GARDEN)の曲をやってください』と言われて『これは出られるんだろうか? 僕たちにそんな技量があるんだろうか?』と……」と感じていたプレッシャーを明かして笑いを誘った。その後は「来来来」「カウンターアクション」と爆音のキラーチューンを連投する。ラストはユニゾンの楽曲「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」をカバー。ここでもバニラズの楽曲「コンビニエンスラブ」の1フレーズを混ぜる演出でファンを楽しませた。 トークコーナーで牧は、1曲目のアレンジのアイデアを「『イントロめっちゃ似てるなあ』と思っていたので、いつかやろう」と温めてきたことを告白。その選曲を田淵は「一番知名度がある曲をカバーするのがバニラズのヒーローらしいところだなと。受けて立つ!みたいな」と絶賛した。そんな牧が歌った「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」に話が及び、田淵は「言葉選びがシュールだから歌ってる人が様になってないと滑稽に見えるんだけど、牧くんが歌うとシュールに聴こえない。セクシーになる」と評するが、その傍らで斎藤は「俺じゃ物足りないって話……?」と不満げな表情を浮かべ、オーディエンスを笑わせた。 ■ ラストは本家のパフォーマンス、21年目も「自分たちのペースで」 最後のライブアクトはもちろんUNISON SQUARE GARDEN。開演直前までステージ前方のブースで落合とトークを繰り広げていた3人は、オープニングSEのイズミカワソラ「絵の具」が流れる中でそのままステージに上がっていく演出で観客を沸かせる。ステージ後方のビジョンにはゲスト4組が披露したカバー7曲のタイトルが表示されていたが、斎藤が「本家!」と叫ぶとSHISHAMOがカバーした「恋する惑星」のタイトルのみにチェンジ。その表示通りに「恋する惑星」が始まった。 ここから3人は各ゲストがカバーしてきた7曲を自ら披露。4組の熱演に応えるかのように気合いのこもったノンストップの演奏で、場内を狂乱状態に導いた。「世界はファンシー」では先ほどのフレデリックのパフォーマンスへのお返しとばかりに、斎藤が歌詞を「20周年とかマジチョロい!」と変えて歌い大歓声を浴びる。7曲連続パフォーマンスのラストを飾ったのは「センチメンタルピリオド」。7色に輝く各曲のタイトルが3人のステージングをカラフルに彩った。 MCで斎藤はこの日の出演者やスタッフ、来場者、生配信の視聴者への感謝を述べ「平坦ではなかったけど20年続けてきて、今日のイベントをやってはっきりわかりました。この20年めちゃくちゃ楽しかったです」と思いを語る。そして「この1年やってきたいろんなことは糧になったと思うし、いつか永遠の眠りにつく頃に思い出すシーンがたくさんあったと思います。それを踏まえてまた来年の21年目、自分たちのペースで一歩一歩進んでいきます」とアニバーサリーイヤーを終える心境を明かした。そんな彼らの思いを表すように披露されたのは「さわれない歌」。丁寧に紡がれる3人の音色に乗せてオーディエンスも感極まった表情で腕を上げる。ラストは「シャンデリア・ワルツ」「フルカラープログラム」で華々しく締めくくられた。 今回のイベントのうち、最後のユニゾンのライブパートは12月31日22:00よりStagecrowdにてリピート配信が行われる。1月10日からは全国ツアー「Charisma & Princess」がスタート。3月26日には日本武道館でのアニバーサリーライブの模様を収めたBlu-ray / DVDが発売されることもアナウンスされている。 ■ セットリスト □ 「USG20th Anniversary LIVE FINALE『fun time tribute』supported by FM802 35th "Be FUNKY!!"」2024年12月25日 インテックス大阪5号館 UNISON SQUARE GARDEN 01. プログラムcontinued(15th style) 02. 傍若のカリスマ SHISHAMO 01. 恋する惑星 02. ワールドワイド・スーパーガール 03. 最高速度 04. 夏恋注意報 05. 明日も フレデリック 01. オドループ 02. マイノリティ・リポート (darling, I love you) 03. ペパーミントガム 04. ジャンキー 05. 世界はファンシー 光村龍哉 01. センチメンタルピリオド 02. image training 03. Shape of You go!go!vanillas 01. シュガーソングとビターステップ 02. エマ 03. 倫敦 04. 来来来 05. カウンターアクション 06. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ UNISON SQUARE GARDEN 01. 恋する惑星 02. ワールドワイド・スーパーガール 03. シュガーソングとビターステップ 04. マイノリティ・リポート (darling, I love you) 05. 世界はファンシー 06. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ 07. センチメンタルピリオド 08. さわれない歌 09. シャンデリア・ワルツ 10. フルカラープログラム