「北海道ワインアカデミー」10年 地域活性化に一役 受講者がワイナリー続々開設
ブドウの栽培や醸造技術、マーケティングを学べる道の研修事業「北海道ワインアカデミー」が本年度で10年目に入り、着実に成果を上げている。受講者は約230人に上り、うち29人が計23カ所のワイナリーを開設。道内で過去10年に増えたワイナリーの6割を占める。道は今後も事業を続ける考えで、研修体制を充実させ、実際にワイン生産にかかわる人材の裾野をさらに広げられるかが今後の課題だ。 【動画】北海道各地でオーロラ観測 2015年度に「ワイン塾」としてスタートし、16年度に今の名称となった。道が年間約3千万円を拠出し、NPO法人ワインクラスター北海道などが運営する。道によると、ブドウ栽培から商品開発まで学べる研修事業は全国でも珍しく、受講料は無料で、毎年、募集人数以上の応募がある。 本年度は今月13日に開講する。ワイン生産にかかわる経験が3年未満の人向けの新規参入コース、経験3年以上で経営に携わる人向けの高度専門コースに分かれ、書類選抜された計30人が参加する。倍率はおよそ1.5倍だった。 期間はブドウの収穫期にあたる9、10月を除く5月~来年2月の計28日間。道内のワイナリー経営者や北大大学院の研究者らが講師を務める。病害虫駆除など栽培ノウハウを座学で学ぶほか、ワイン成分やブドウ畑の土壌の分析を実際に体験する。道内外のワイナリーの畑や醸造施設の見学も予定している。 道内のワイナリーは、15年度は25カ所だったが、23年度は64カ所と2.6倍になった。有力な担い手となったアカデミー卒業生によるワイナリーも増えている。 初年度のワイン塾に参加したニセコワイナリー(後志管内ニセコ町)の本間泰則社長は「ワイン造りは幅広く奥深いので、一人で学ぶには限界がある。総合力を身につけるには必須のアカデミーだった」と振り返る。現在は「指導を受けた恩返し」として、地元でブドウを栽培する若手農家に醸造技術などを伝えている。