特急ねむろ号 存続危機 利用減、国の補助対象外に
北海道の根室市と釧路市間を走る都市間バス「特急ねむろ号」が存続の危機にあることが分かった。利用者減で国庫補助の対象外となることが、ほぼ確実のため、沿線自治体(2市2町)の負担が増すことから、根室市はバス会社や関係自治体などと今年度中の路線再編を判断することにしている。 根室市地域公共交通確保対策協議会(会長・竹本勝哉副市長)の総会の中で明かされた。特急ねむろ号は、根室交通とくしろバスが相互に乗り入れ、根室-釧路間を1日3往復(休日2往復)している。 国の補助要件は1往復当たり平均5人以上で、2023年度(22年10月~23年9月)の平均利用者数は4・3人と20年度以降、5人割れが続いている。利用者は根室市民による釧路市内医療機関への通院の足としての利用が多いため、時間帯によっては乗客0人の便も見られるという。 運行には国と道、沿線自治体の釧路市、釧路町、浜中町、根室市で8157万円(23年度)を補助、うち根室市はもっとも多い約38%(2123万円)を負担している。今年10月以降、国の補助がなくなると赤字補填のための沿線自治体負担が、さらに1300万円増える見通し。 バス事業者からは乗務員や車両の確保が課題として挙げられ、沿線自治体からは利用者の多い根室市の負担割合見直しが求められている形だ。 自家用車で釧路市内医療機関に通う患者が交通死亡事故を起こす事例も発生していることから、公共交通機関の利用を進めている市としても路線は存続させたい考え。竹本副市長は「市民の通院の足として観光客の利便性からも沿線自治体とバス事業者に対し、1年間の猶予の中で協議する考えを伝え、理解を求めた。今後、利用実態調査などを踏まえ、路線の在り方を検討していく」と話している。
釧路新聞