「アレルギー性鼻炎薬」の効果と副作用を医師が解説 薬はいつまで飲むべき?
ホコリやダニ、ペットの毛など、さまざまなものに対して反応するアレルギー性鼻炎。季節性がある花粉症と違って一年中、アレルゲンとなるものが存在するため、いつまで薬を飲み続ける必要があるのか悩んでいる人もいるのでは? そこで調布駅前クリニック耳鼻咽喉科の髙原先生に詳しい話を聞きました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
アレルギー性鼻炎とは? 花粉・ハウスダスト等どんな原因で鼻水やくしゃみが起きるの?
編集部: アレルギー性鼻炎とはなんですか? 髙原先生: 特定の物質が鼻粘膜から侵入することでアレルギー反応が起こることを、「アレルギー性鼻炎」といいます。アレルギー反応とは、特定の物質に対して免疫の働きが過剰になることです。 編集部: アレルギー性鼻炎と花粉症の違いはなんですか? 髙原先生: アレルギー性鼻炎には「通年性アレルギー性鼻炎」と「季節性アレルギー性鼻炎」があります。通年性のものは年間通して症状が起きるもの、季節性のものは特定の時期だけ起きるものです。 花粉症は、スギやヒノキの花粉などが原因物質となり、花粉の飛散時期だけ症状が認められるため、季節性アレルギー性鼻炎にあたります。 編集部: アレルギー性鼻炎になると、どのような症状が見られるのですか? 髙原先生: くしゃみ、鼻水、鼻づまりが三大症状とされています。これらは風邪などによっても起きますが、アレルギー性鼻炎の場合、「連続して起こるくしゃみ」や「無色で粘り気がなく、サラサラした鼻水」などの特徴があります。 編集部: 通年性アレルギー性鼻炎の原因となる物質はなんですか? 髙原先生: 主にハウスダストに対して反応します。ハウスダストの主成分はダニ。そのほか、カビ、真菌の胞子、織物の繊維、昆虫の死骸、ペットの毛などもハウスダストに含まれます。
アレルギー性鼻炎の治療薬には飲み薬・点鼻薬がある 薬の種類によって鼻水・鼻詰まりを止める即効性や副作用に違いはあるの?
編集部: アレルギー性鼻炎はどうやって治療するのですか? 髙原先生: 「薬物療法」「アレルゲン免疫療法」「手術療法」の3種があります。もっとも一般的に行われているのは薬物療法です。 編集部: 薬物療法では、どんな薬を使うのですか? 髙原先生: 大きく分けて飲み薬と点鼻薬があります。飲み薬で最もよく処方されるものは、ヒスタミン受容体拮抗薬です。これは鼻水を抑制する効果があります。そのほか、ロイコトリエン受容体拮抗薬には鼻づまりを解消する効果があります。 編集部: 点鼻薬ではどのような薬を使うのですか? 髙原先生: 主に噴霧ステロイド剤を使用します。これは鼻の炎症を抑える効果があり、症状を速やかに改善することが期待されます。実際には症状に合わせてこれらの薬を組み合わせて使用します。 編集部: ステロイド剤と聞くと副作用が心配になります。 髙原先生: 噴霧ステロイド剤は局所に使用するものであり、全身に副作用を及ぼすことはほとんどないと考えられています。 ただし市販の点鼻薬には血管収縮剤が含まれていることが多く、長期にわたって使用すると、かえって炎症が悪化することがありますので専門医に相談の上、処方してもらうようにしましょう。 編集部: 医療機関で処方してもらう噴霧ステロイド剤は、市販の点鼻薬と違うのですか? 髙原先生: 医療機関で処方する噴霧ステロイド剤にはいろいろな種類があり、ステロイド剤を主成分として血管収縮剤が含まれているものを使う場合もあります。 しかし市販されている点鼻薬は、ほとんどが血管収縮剤だけを使用したもの。血管収縮剤は急速に鼻粘膜の腫れを改善し、速やかに鼻づまりを解消してくれる効果がありますが、その反面、長く使い続けると「薬剤性鼻炎」を発症することがあります。 編集部: 薬剤性鼻炎とはなんですか? 髙原先生: 市販の点鼻薬を長期間使い続けることで、鼻づまりがかえって悪化してしまうことをいいます。血管収縮剤は効きが早いので、1日に何度も使い続けてしまいがちです。 そうなると、慢性的に鼻づまりが続くことになり、症状が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。この場合は違う成分の点鼻薬を使ったり、内服薬を使ったりして治療を行う必要があります。