中国の消費者物価、また鈍化-需要底上げ図るもゼロに接近
(ブルームバーグ): 中国の消費者物価は昨年12月も伸び悩み、上昇率は4カ月連続で鈍化した。政府は景気刺激策を講じて需要の底上げを図るが、効果が上がっていない。
国家統計局が9日発表した12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.1%上昇。ブルームバーグ集計のエコノミスト予想中央値と一致した。11月は0.2%上昇していた。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年同月比0.4%上昇と、3カ月連続で伸びが拡大。昨年7月以来の大きな伸び率となり、中国当局にとっては明るい兆しとなった。
一方、12月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.3%低下と、27カ月連続のマイナス。予想中央値は2.4%低下だった。
米金融当局者がインフレリスクの高止まりを指摘し、ユーロ圏の物価上昇率も先月加速する中、中国のデフレ圧力の根強さは他の主要国・地域とは極めて対照的だ。中国政府にとって懸念されるのは、物価下落のサイクルが定着した場合、家計支出が長期化にわたり抑制されるほか、企業収益には大きな打撃となって投資が伸び悩み、さらなる賃金カットやレイオフにつながる恐れがあることだ。
2024年全体では、CPI上昇率は0.2%にとどまった。エコノミストが昨年初めに見込んでいた1.1%上昇には遠く及ばなかった。
ブルームバーグ・エコノミクスによると、直近のインフレ指標は、経済全体の物価動向を示す国内総生産(GDP)デフレーターが7四半期連続でマイナスとなることを示唆している。シティグループのエコノミストは6日のリポートで、25年も3年連続で下落となりそうだと分析。実際にそうなれば、1960年代前半以来となる長期マイナス局面に突入する。
中国人民銀行(中央銀行)にとって、物価の伸び悩みは金融緩和を支持する論拠になり得る。ただ、景気支援と人民元安の抑制の両立は難しく、二兎を追う形となる。
ING銀行の大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「今回のCPI発表が人民銀による追加緩和の主なカタリストになるとは思わないが、年内の追加利下げと一段の預金準備率引き下げというすでに有力な論拠に新たなデータポイントが加わったことは確かだ」と述べた。