ウルトラマンに憧れた丸が「ウルトラマン・ライジング ナイター」のヒーロー!サヨナラ弾、4安打で首位打者
◆JERA セ・リーグ 巨人3×―2広島=延長10回=(28日・東京ドーム) 巨人が今季4度目のサヨナラ勝ちで首位・広島とのゲーム差を3・5に縮めた。延長10回に丸佳浩外野手(35)がプロ2本目、今季チーム初となるサヨナラ弾。出塁率リーグトップと絶好調だった丸は打率も同トップに浮上した。1点リードの9回、バルドナードの暴投で同点に追いつかれて延長戦に突入したが、ミスの目立った試合展開をベテランの一振りが救った。シーズン折り返しの72試合を終え、貯金を1とした。 【ハイライト動画】「完璧な当たり」巨人・丸の劇的サヨナラ弾で首位・広島と3・5差! さあ追撃だ 歓喜のウォーターシャワーでずぶぬれになった前髪を、気持ちよさそうに右手でぬぐった。丸はヘルメットを投げ捨てて本塁に飛び込み、仲間の手荒い祝福に身を委ねた。お立ち台に上がると開口一番「本当に勝ててよかったです。ありがとうございます」。阿部巨人72試合目で初のサヨナラアーチ。23年5月4日のヤクルト戦(東京D)以来となる自身2度目の劇弾で、3時間22分の激闘に決着をつけた。 2―2の延長10回1死。カウント2ボールから外角144キロカットボールを右翼席中段へたたき込んだ。雄たけびを上げながら一塁ベンチに右拳でガッツポーズを決めた。「完璧でした。打った瞬間、行くと思いました」。試合前まで通算13打数無安打、7三振と完璧に封じられていた栗林に対し「前に飛ばしたら勝ちだというくらいの気持ちでいきました」と腹をくくったフルスイング。前日のDeNA戦でのサヨナラ負けのショックも帳消しにした。 Netflix映画の世界独占配信を記念し「『Ultraman:Rising(ウルトラマン・ライジング)』ナイター」として開催された一戦。日本語吹替版で主役の声優を務める俳優の山田裕貴が始球式に登場するなどして盛り上げた。 チーム屈指のアニメ好きとしても知られる丸は、ウルトラマンに強い憧れを抱く少年だった。小学校低学年時代は「ウルトラセブン」がお気に入り。試合後は「ウルトラホーク1号っていう戦闘機があるんですけど、それがアルファー号、ガンマー号、ベーター号って分かれるんですよ。それを、割りばしとはさみで作っていました」と幼少期を振り返りながら満面の笑みで語った。多くの子どもたちが詰めかけた金曜日のナイターで自身が格好いい「ヒーロー」になった。 5打数4安打で打率を3割1分としヤクルト・サンタナを1厘差で交わし、首位打者に浮上。リーグトップだった出塁率も3割9分6厘まで伸ばし「2冠」に立った。16年から20年まで個人としてリーグ5連覇を経験した百戦錬磨の優勝請負人は「これからどんどんしびれる試合が増えてくるし、今日もそういう試合だった。そこに勝っていくことで、チームとしても強くなる。勝ちをしっかり生かすために、明日以降の試合が大事になってくる」。首位・広島とは3・5差。上位追い上げには“ウルトラマル”が欠かせない。(内田 拓希) 【高橋由伸Point】バットを上下にヒッチする上半身と、右足を上げる下半身のタイミングが合っている。丸の好不調を見分けるポイントだ。ゆったりとした間ができ、振り出すトップの位置も安定しているからコンタクト率も上がっている。その中でコース、球種に逆らわないバッティングが4安打につながっていると思う。手がつけられない状態だろう。今の巨人打線はいかにチャンスをつくれるかがポイント。「1番・丸」はボールもよく見るし、失投も逃さないから相手は怖い。さらに得点力を上げていくには、2番以降の役割がより重要になってくる。(スポーツ報知評論家)
報知新聞社