アップル、時価総額1130億ドル失う-米欧で訴訟や全面調査の動き
(ブルームバーグ): 米欧の規制当局が米アップルに厳しい目を注いでおり、投資家の間で訴訟や制裁金への懸念が広がり、株価の下落につながった。
米司法省とカリフォルニア州などの司法長官16人は21日、米アップルが反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとして提訴。欧州連合(EU)は大手テクノロジー企業を対象としたデジタル市場法(DMA)の順守状況を巡り、アップルとアルファベット傘下グーグルの全面調査に踏み切る方針だ。
アップルとグーグル、EUがデジタル市場法で初の全面調査へ-関係者
同日の株式市場でアップル株は4.1%安で終了し、時価総額は約1130億ドル(約17兆1400億円)減少した。年初来では11%の縮小となる。かつて時価総額3兆ドルを超え、時価総額世界トップだったアップルは今年、ナスダック100指数とS&P500種株価指数のパフォーマンスをいずれも下回っている。
アップルが規制当局の調査や訴訟の対象となるのは今回が初めてではない。アップルや同業他社は長年にわたり、支配的地位を利用して競合企業の動きを阻害することで利益を拡大してきたとの批判を受けている。ただ、アップル製品がますます人気を博し、全世界で日常生活の一部としての地位を確立するにつれ、当局もまた同社の持つ力に対して一段と警戒心を強めている。
米ニュージャージー州の連邦裁判所に提出された訴状は、アップルが「iPhone(アイフォーン)」のハードウエアおよびソフトウエア機能への競合他社のアクセスを妨げているとの主張を展開。EUの全面調査は、同社とグーグルがアプリ開発業者に課す新たな手数料や条項、条件を中心が中心になり、両社は最終的に巨額の制裁金が科される恐れもある。
ジョージ・ワシントン大学ロースクールのビル・コバシック教授(反トラスト法)は、「相次ぐ訴訟と調査が企業の経営に大きな足かせとなる時がくる。たとえ勝っても、重要な意味で負けだ」と語る。