「20年以上治療も…」“性犯罪”加害男性が語る不安 「日本版DBS」に必要なことは
日テレNEWS NNN
9日、衆議院で子どもを性暴力から守るための法案の審議が始まりました。その柱となるのが「日本版DBS」です。子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないか、学校や保育所などに確認を義務づける制度です。「日本版DBS」によって、子どもたちを守ることができるのか。制度に必要なことは何なのでしょうか。 ▼教員から…気付けなかった性被害 20年が過ぎ「普通の恋愛と違った」 きょう“日本版DBS”審議入り それを考えるため、先週は子どもの頃に性被害を受けた方の声をお伝えしましたが、9日は、加害者の男性の声をお伝えします。男性は過去に子どもへの性犯罪で有罪判決を受け、いまも治療を続けています。男性は実名でカメラの前で取材に答えています。不快な思いやフラッシュバックする恐れがある方は、動画の視聴をお控えください。 ◇
後悔の言葉を口にしたのは、加藤孝さん(61)。かつて家庭教師をしていた時などに、子どもに性加害をしたといいます。 加藤孝さん(61) 「償いきれない傷、癒やしきれない傷をその人に与えてしまって、その人の人生を破壊してしまって、申し訳なさでいっぱいです」 38歳のとき、警察に自首し、強制わいせつ未遂の罪で懲役2年、保護観察付きの執行猶予4年の有罪判決を受けました。 加藤さんは有罪判決後、性依存症と診断され、これまで20年以上、性加害を起こさないための専門的な治療を続け、性依存症の自助グループに参加しています。 加藤孝さん(61) 「一日一日、再加害しない日々を積み重ねていく。自分のコンディションを維持することによって、日々の執行猶予が与えられているに過ぎない」 そんな加藤さんが、大きな進展だと話すのが、9日に国会での審議が始まった「こども性暴力防止法案」。その柱となるのが「日本版DBS」で、子どもに接する業務に就く人に性犯罪歴がないか、学校や保育所などに確認を義務づける制度です。 加藤孝さん(61) 「子ども性暴力を根絶する意味で、とても大きな進展だと思います」 一方、今回の法案では、性犯罪歴のある人が子どもと接する業務につけなくなるのは10年、または20年と限られた期間だけです。有罪判決から20年以上たち、再犯防止につとめている加藤さんでも、自身にはまだ再加害リスクがあると言います。 加藤孝さん(61) 「僕が最後に加害してしまったのが20数年前。仮にそのときにDBS法があったら、僕は監視のネットワークから外れてしまう。依存症は一生治癒はしない、ただし回復はしていく。だんだん良くなってはいく」 「『自分はもう大丈夫』、繰り返していない、この問題卒業と言い出したら、逆にそれは危険な兆候だと思います。僕は(性加害をしなくなって)20年を超えてますけど、今でも自分に再加害リスクがあると思う。このことについては、期限を設けず対象にすべき」 法案をめぐっては、性犯罪歴がある人の職業を制限するのが、権利の侵害にあたるという声もありますが… 加藤孝さん(61) 「第一に考慮すべきは、子どもの人権だと思うんですね。わざわざ、また子どもに近づく職業を選択するのは、一体どういうことですかと。職業の選択の自由の制限があっても構わないと僕は思います」 「(性加害を)絶対に繰り返したくないと思ってはいます。でも、仮に子どもと一対一になったときに、自分の中にそういう要素があり続けてるわけですね。不用意にそういう機会を許してしまうのは非常に危険なことだと考えています」