尹大統領、朴元大統領を弾劾した国民の「沸点」に近づく…レームダック到来か(2)
ソン・ハニョン先任記者の「政治の舞台裏」
(1から続く) いわゆる保守系新聞もかなり懸念しているようです。「朝鮮日報」は19日付の紙面に、「尹大統領は支持率20%を深刻に受け止めなければ」という見出しの社説を掲載しました。「中央日報」の社説の見出しは「国政刷新これ以上は無視できない『大統領支持率20%』」でした。しかし、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は今月13日、国民統合委員会の成果報告会に出席し、「改革には抵抗がつきものであり、いまあちこちで反改革の抵抗が続いている」と国民を叱咤しました。「東亜日報」はこのような尹錫悦大統領を「改革らしい改革もせず、『あちこちで反改革の抵抗』のせいにするのか」という見出しの社説で強く批判しました。 まさにそのためです。秋夕(チュソク・旧暦8月15日の節句)連休後の10月の政局は、尹錫悦大統領にとってどうやら「最も残忍な月」になりそうです。 まずは国政監査です。 会期中の国会で第1回目の国政監査が10月7日から25日まで開かれます。少数与党の国会での国政監査は、尹錫悦大統領にとって脅威となります。任期中盤を控えた尹錫悦大統領とキム・ゴンヒ女史に関連した新たな暴露が相次ぐ可能性があります。 野党には意欲に満ちた「恐ろしい初当選者たち」が数え切れないほどいます。 次は、再・補欠選挙です。 10月16日、釜山金井(プサン・クムジョン)区長、仁川江華(インチョン・カンファ)郡守、全羅南道谷城(コクソン)郡守と霊光(ヨングァン)郡守の再・補欠選挙があります。金井区長と江華郡守は、与党「国民の力」にとって「負けられない」選挙です。敗北すれば、尹錫悦大統領の責任論が浮上するでしょう。保守と革新の対決で繰り広げられるソウル市教育監選挙も同じです。保守系候補が敗北すれば、尹錫悦大統領の責任を問う声が高まるでしょう。 最後は、再議決のリスクです。 国会は今月19日に本会議を開き、キム・ゴンヒ女史特別検事法、殉職海兵隊員C上等兵特別検事法、地域貨幣法を議決しました。尹錫悦大統領は拒否権を行使するでしょう。国会は再議決に乗り出すでしょう。再議決の表決は無記名投票です。与党の議員たちが離脱せず、再議決を阻止できるのでしょうか。再議決が成立すれば、尹錫悦大統領はレームダックに陥ることになります。 ■政治の失敗から抜け出す自省と刷新は期待できない もちろん10月は野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表にとっても「危険な季節」です。イ・ジェミョン代表は偽証教唆事件と公職選挙法違反事件の1審宣告を控えています。 しかし、尹錫悦大統領を取り巻く環境に比べると、そこまで厳しくは見えません。もしイ・ジェミョン代表に無罪や比較的軽い刑が言い渡された場合、尹錫悦大統領と与党がむしろ逆風にさらされる可能性もあります。 市民社会の動きも活発です。在野と市民社会の元老たちが結成した「全国非常時局会議」は20日、尹錫悦政権の退陣を求める時局宣言を発表しました。9月28日午後3時には「尹錫悦政権退陣時局大会」が全国の主要都心で開かれます。2016年10月と同じような気運が高まっています。 そろそろこの文を締めくくりたいと思います。尹錫悦大統領は「最も残忍な月」10月の危機を免れるでしょうか。免れるためにはどうすればいいでしょうか。 保守系新聞は「痛切な自省」(朝鮮日報)と「国政運営の一大刷新」(中央日報)を求めています。尹大統領にそれができるでしょうか。難しいと思います。そういうことができる人ではないからです。 尹錫悦大統領の危機は政治の失敗に由来したものです。最も効果的な案は政治の回復です。イ・ジェミョン代表に救いの手を求めた方が良いでしょう。痛切な自省や国政刷新よりは、そのほうが少しは可能性があると思います。皆さんはどうお考えですか。 ソン・ハニョン政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )