米国人、実は「中国EV」に興味津々! 40歳以下のなんと“8割”が支持、米企業の調査で明らかに バイデン100%輸入関税は効果があるのか
情報漏えい懸念も価格魅力
一方、中国ブランドのEVについては、情報漏えいなどプライバシーへの懸念があることもわかった。 全世代で、7割以上の回答者がプライバシーへの懸念を示している。今後、EVはスマートフォンやスマートウオッチなど、家庭内で使用されるさまざまな電子機器と連携して使用されることが予想されるため、個人情報の流出に対する懸念が高まっていることを裏付ける結果となった。 また、これらの回答は、バイデン政権がTik Tokの利用を制限した動きとも呼応しており、中国製品に対する警戒感が米国消費者の間に広がっていることを示唆している。 中国ブランドのEVを購入したい理由については、価格が魅力的という回答が最も多く、Z世代のような経済的に余裕がない層の購買意欲が高いことを示している。 とはいえ、未発売の中国ブランドEVへの関心も高いという調査結果が出ており、SNSやインターネットの普及によって、世界各国の距離が大きく縮まっていることを証明しているようだ。まさに 「イッツアスモールワールド」 だが、裏を返せば、米国の消費者の間でEV購入意欲が高まっていることを示しているともいえる。今回の調査結果は、手頃な価格がEV購入の刺激に効果的であることを明確に示している。
米市場に潜む需要
中国の自動車メーカーは、米国隣国でEVの生産体制を整備し、米国市場への参入機会を探っている。中国ブランドのEVが米国市場に参入するのは時間の問題だと認めざるを得ない。 米国政府が高い輸入関税を課したとしても、低い製造コストで生産する中国自動車メーカーの競争力にかなわないことは明らかだ。 一例として、比亜迪(BYD)のEVラインアップには ・小型EV「シーガル」 ・クーペスポーツタイプ多目的車(SUV)「シーライオン」 があり、価格は1万2000~2万5000ドル(約180万~400万円)を達成している。米国で販売されているEVの平均価格は約6万ドル(約960万円)なので、BYDのEVに100%の輸入関税がかかったとしても、競争力は維持できるだろう。 いうまでもなく、中国の自動車メーカーはこの調査結果を歓迎している。米国市場に一定の需要があることを知った彼らは、これまで以上に米国市場への進出を加速させるに違いない。
河崎賢二(自動車マーケター)