中村勘九郎と七之助、父・勘三郎さんが演じた蔦屋重三郎を描く「きらら浮世伝」を歌舞伎化
歌舞伎俳優、中村勘九郎(43)と中村七之助(41)が12日、東京都内で東京・歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」(来年2月2~25日)の取材会に出席した。 昼の部「きらら浮世伝」は、1988年に銀座セゾン劇場で父の十八代目中村勘三郎さん(享年57)が主人公、蔦屋重三郎を演じた舞台を歌舞伎化。 勘九郎は来年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」に触れ、「蔦屋重三郎という人を主人公にして、江戸の芸術家だったりとか若い才能たちが爆発していた青春群像劇を大河でやるっていうのはとてもうれしくて。『きらら』も、いつかやりたいと思っていたけどこのタイミングしかない」と説明。 勘三郎さんの舞台を「記憶にないけど楽屋は熱があってギラギラしていた」と振り返り、「映像を見たら爆発って感じで。(蔦重の)幕府への反骨精神はわれら歌舞伎俳優と共通している部分。本当に常に戦ってた人だな、と。父とすごくかぶる」と思いをはせた。 一方、遊女お篠を演じる七之助も「父と食事をすると毎回『きらら』の話が出ました。稽古が壮絶だったと100回くらい聞いてます。志高くもって、アンテナを張って生きていくと素晴らしい作品ができると毎日、思いながら過ごしています」と話した。 また、今年2月に歌舞伎座から始まった勘三郎さんの十三回忌追善興行を10月に終えた勘九郎は「私たちの肉体を通して父の魂というものを感じとっていただけた1年になった」、七之助も「父も天国で喜んでくれているかな」と感慨。 勘九郎は今月5日の命日に法要が行われたことに触れ、「まだ実感がわかない」とポツリ。七之助は「3日に1回、2日に1回くらい夢に出てくる。だから法要ってなかなか残酷で死んだんだ、という現実を突きつけられている感覚でした」と声を落としながら、「父のおかげで十三回忌追善を乗り越えられました。未来に向かって、父がいたら、こういうことを喜んでくれたなっていうのを常に考えて1年1年を生きていこうかなって思います」と前を向いた。