堺雅人、父性への理解に困惑、これまでの仕事で「もっとも迷子になった」
大河ドラマ「真田丸」や、人気ドラマ「半沢直樹」、「リーガルハイ」など個性的なキャラクターを緩急織り交ぜ演じてきた俳優・堺雅人。そんな堺が初めて日本語吹替に挑んだ作品が映画『プーと大人になった僕』だ。これまで数々の作品で変幻自在な演技をみせてきた堺が「もっとも迷子になった」という作品。技術的なことはもちろんだが、“父性”への理解も、堺を悩ませる一因となっていたようだ。
お父さんってどうやるんだろう?
堺が命を吹き込んだクリストファー・ロビンは、児童小説「クマのプーさん」の登場人物。100エーカーの森でプーさんたちと仲良く暮らしていたが、ある事情から仲間たちとの悲しい別れを経験。その後、大人になり、仕事や家族を持ち、現実に押しつぶされそうになりながら日々を過ごしている。 「この物語は、ちょうど第二次世界大戦直後の時代設定だと思うのですが、そこが絶妙ですよね。男たちが勝手に戦争をはじめ、ボロボロになり、そこからの産業復興。仕事に追われる日々。ある意味で父性が喪失してしまっている時代なのかなと。クリストファーは『お父さんってどうやるんだろう』という悩みを持っていますが、ある意味で、僕もそういう気持ちになることがあるので、彼の感情とリンクしていました」。 この点について堺は「お母さんってなんとなくイメージしやすいですよね。子供を面倒見て、同調して、感情移入して共感する。でもお父さんは見えてこない。もし監督から演技に『父性を入れてください』と言われても、困ってしまうと思います」と率直な胸の内を明かす。 一方、技術的な側面で言えば、過去にアニメーションの声優を務めた経験もあり、実写の吹替では、実在する人物というガイドがあるので「やりやすいかも」と思う部分あったという。しかし、実際はクリストファーを演じたユアン・マクレガーの芝居に引っ張られてしまうと「どうしても一本調子になってしまう」と指摘され、トーンのさじ加減が非常に難しかったと収録を振り返る。