<春はばたく>第92回センバツ注目校/3 桐生第一(群馬) 「欠点より長所」徹底
<第92回選抜高校野球> 恩師の後を継いで、母校を4年ぶりの甲子園に導いた。2018年9月からチームを指揮する桐生第一の今泉壮介監督(40)は「同じことをするのは無理。選手たちが結果を出す方法を考えている」と試行錯誤を重ねている。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 本人も「監督になるつもりはなかった」と振り返るほど、突然の監督就任だった。前任は1985年の創部から監督を務め、99年夏の甲子園で初優勝を果たした福田治男・現利根商(群馬)監督。18年8月に部長の部員に対する体罰が発覚し、学校側は部長とともに、福田監督も「総合的な経営判断」を理由に解任した。 コーチから昇格した今泉監督は、高校時代内野手。3年間で1年夏が唯一の甲子園で、ベンチには入れなかった。卒業した98年から3年連続で後輩たちが夏の甲子園に出場し、全国制覇も成し遂げただけに「谷間の世代」と苦笑する。関東学園大を経て、02年から6年間、会社員生活を送りながら全足利ク(栃木)でプレーし、04年の全日本クラブ選手権で優勝した。母校からコーチを打診されたのは12年。「誰にでもできる仕事ではない」という周囲の勧めもあって決断した。事務職員として採用された。 今泉監督は「高校野球生活は2年半しかない」ことを踏まえ「欠点を直すより長所を徹底的に伸ばせば、役割が生まれる」との指導方針を掲げる。例えば、打力のある選手にはバント練習を減らしてでも打撃練習に時間を割く。4番で主将の広瀬智也(2年)は三塁の守備に不安があったものの、19年秋の公式戦で打率4割をマーク。「起用し続けてくれて、精神的に成長した」と感謝する。 今泉監督就任後の18年秋の関東大会は翌春のセンバツで準優勝した習志野(千葉)にタイブレークの延長十四回の末に初戦敗退。群馬優勝校として臨んだ19年秋の関東大会では4強入りし、センバツ切符をつかんだ。広瀬は「監督に1勝をプレゼントしたい」と誓っている。【岩壁峻】=つづく