日本ハム、新外国人「10億円超」の大補強 他球団の編成担当は「二軍の選手に1億円以上の年俸を支払うのは……」と冷ややか
メジャー通算108本塁打を誇る大砲
一方の野手では、レイエス(前ロイヤルズ)を獲得した。2019年と2021年にシーズン30本塁打以上を放ち、メジャー通算108本塁打を誇る大砲で、前田健太(タイガース)からも通算4本塁打を放っている。メジャー通算打率は.249と確実性は高くはないが、来日初の実戦となった2月15日のDeNAとの練習試合では3安打を放つなど対応力があるところを見せた。さらに、3月2日のイースタン教育リーグ、オイシックス戦で、変化球を逆方向に弾き返して、ライトスタンドに叩き込むソロを放っている。 もう一人の新外国人野手は、スティーブンソン。メジャー通算で98安打と、レイエスの実績には及ばないが、マイナーリーグでは通算183盗塁をマークしており、スピードを大きな武器としている。昨年はツインズで2年ぶりにメジャー昇格を果たし、ポストシーズンに出場した。レギュラー争いに加わる可能性は十分にあるだろう。 楽しみな新戦力は、それだけではない。ドラフト2位で入団した進藤勇也は、一軍キャンプに抜擢されると、抜群の守備力をアピールし、正捕手争いに加わる活躍を見せている。ここ数年の日本ハムはなかなか捕手が固定できなかった。進藤が不動のレギュラーに成長すれば、チームの未来は一気に明るくなるだろう。
「エスコンフィールド北海道」の経済効果
ルーキー以外の新加入の選手を改めて見ると、高額年俸が目立つ。山崎は、ソフトバンクなど他球団と比較して、提示金額が低かったと見られているが、それでも4年総額推定10億円と言われており、大型契約であることは間違いない。外国人選手は、バーヘイゲンの3億5000万円を筆頭に、マーフィーが1億2000万円、ザバラとスティーブンソンが1億1000万円、レイエスが1億円。全員が年俸1億円を超えている。 それに加えて、昨年から在籍するロドリゲスとマルティネスは年俸1億2000万円となっており、外国人選手7人の年俸総額は10億3000万円にも達する(金額は全て推定)。 このような「大型補強」を可能にしたのが、昨年開場した新球場であるエスコンフィールド北海道の存在だ。 「札幌ドーム時代と比べて、本拠地の試合での収益が大幅に改善したことが大きいですね。これまでは外国人選手を含めた選手の“総年俸”が厳しく決められており、それを超えることは許されなかったのです。このため、実績のある選手がFA権を取得すると退団するケースが多かったですが、昨年のオフからは、選手補強にかなり資金を使えるようになりました。以前までの収益だったら、山崎福也や、他の球団も狙っていたレイエスらの外国人選手も獲得が難しく、加藤貴之の残留交渉は失敗していた可能性が高かったと思います」(日本ハムの球団関係者) 昨年10月の球団発表によると、開場からわずか半年で来場者数は300万人を突破。コロナ禍前の2019年に9億5000万円だった営業利益は242%増の26億円を見込んでいるという。旧本拠地の札幌ドームでは、なかなか収益が上がらず、球団運営にかけられる費用が厳しく制限されていたというが、新球場の好調なスタートで収益構造が改善し、それを選手補強に当てられる。これは非常に健全なサイクルと言えそうだ。