「摂取した脂肪の約25%を排出」 日本初の“やせる市販薬”が登場! 「価格は1カ月で8800円」
油漏れが起きるのは3割
もっとも、脂肪の吸収を妨げるゆえの“懸念”もある。国内の臨床試験では“便や油を伴う放屁”といった副作用が報告されており、先の藤田マネージャーは、 「一般的に想像される通常の活動に支障が生じる程度の便失禁というのは、多くは起こりません」 そう前置きしながらも、 「油が肛門からにじみ出てしまう油漏れは、長期投与の試験で3割ほどの方に認められたというデータがあります。ですが、油漏れや下痢といった症状は服用開始から2週間以内に起こりやすく、その後は発現率が下がっていく。これは、何を食べるとどんな症状が出るかということが徐々に分かってきて、高脂肪な食事を控えるようになることが要因の一つと考えています。ただし体質の問題もあり、心配な方は服用後2週間くらいはパッドやナプキンなどで油漏れの対策をしていただければと思います」 というのだ。
食べた物の油量を可視化
これに関して、 「私の場合は油が勝手に漏れるということはなく、おむつは使いませんでしたが、お腹が緩くなってトイレに行く回数は確実に増えました」 そう明かすのは、実際にアライを服用した薬剤師の水八寿裕(みずやすひろ)氏である。 「服用開始から2日間は便に油が混じる感覚はなく、3日目あたりから油滴が便器の水面に浮かぶように、しっかりと出てきました。このインパクト、視覚的効果はてきめんで“本来ならこれだけの量の油が体内に取り込まれていたのか”と気付かされ、いやでも日々の食事には注意を払おうと思い知らされるのです」(同) 食べた物の油量を、アライが可視化してくれるというわけだ。
40年前ならば太らなかったはずの人が…
あらためて横手理事長が言う。 「健康障害のある肥満症に対する治療薬がウゴービで、アライは内臓脂肪を減少させる、肥満症への予防薬と位置付けられるでしょう。現在、世界中で肥満が増えています。交通手段が発達して歩かなくなり、またおいしくて高カロリーの食物が手に入る。その結果、エネルギー過多の状態となり、40年前ならば太らなかったはずの人が肥満になってしまうという社会環境の変化もあります。そんな中で、食事療法や運動療法など個人の努力だけでは十分に効果が得られなかったところに、薬を適切に用いることで体重を減らし、健康障害を改善できる可能性が見えてきたわけです」 記念すべき「肥満症治療新元年」の門出。治療や予防の選択肢が大いに広がり、より多くの患者や予備軍の人たちが健康を取り戻す気運が高まっているというのだ。 前編では、週に1度の注射で10%の体重減少がみられるという新薬・ウゴービの効能などを紹介している。 「週刊新潮」2024年6月13日号 掲載
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