小田香監督新作『Underground アンダーグラウンド』2025年2月公開へ 吉開菜央らが出演
小田香監督の5年ぶりとなる長編映画『Underground アンダーグラウンド』が2025年2月にユーロスペースほかにて全国順次公開されることが決定した。 【写真】『Underground アンダーグラウンド』場面写真 本作は、『サタンタンゴ』『ニーチェの馬』で知られる映画作家タル・ベーラが後進の育成のために設立した映画学校「film.factory」で3年間学んだ後、卒業制作として作られた長編デビュー作『鉱 ARAGANE』ではボスニア・ヘルツェゴビナの炭鉱、第1回大島渚賞を受賞した『セノーテ』ではメキシコ、ユカタン半島北部に点在するセノーテと呼ばれる洞窟内の泉と、異形の地下世界を題材に制作を続けてきた小田監督による最新作。 小田が「“地下世界”を描く作品としては節目となる作品」と語る本作は、監督が3年かけて日本各地をリサーチし、その土地に宿る歴史と記憶を辿り、土地の人々の声に耳を傾け、これまでとは全く異なる撮影体制で地下の暗闇を16mmフィルムに焼き付けている。 地下の暗闇から、蠢く怪物のように「シャドウ(影)」が姿を現す。シャドウ(影)はある女の姿を借りて、時代も場所も超えて旅を始める。滲み出す地下水に濡れる、地下鉄が走る音を聞き、戦争により多くの人々が命を失ったほら穴の中で死者達の声に耳を澄ませる。山奥の寺では、洞窟に続く、壁面に掘られた仏たちのために読経する僧侶の傍らに身を寄せる。そんな道行きの中、シャドウ(影)は、かつてそこで起きたことをトレースしていくようになり、ふと入った映画館で出くわした映像に導かれ、湖の底に沈んだ街に向かうのだった。 映像の中で登場する、ある女の姿を借りた「シャドウ(影)」という存在を、米津玄師の楽曲「Lemon」のMVで印象的なダンスを披露し、映画『Shari』などの監督としても知られる吉開菜央が演じている。 小田香監督 コメント わたしたちが滅びた後、わたしたちがここに本当にいたということを遺せる術はなんだろう。 わたしたちが人と呼ばれる前にもわたしたちはいただろうが、人と呼ばれなくなった後も、生痕を宿した記憶を繋いでいけるだろうか。 死、失われた者、遺されたもの、それらの気配が漂う地下空間で、束の間、映画という装置で時間を動かす。 隠したり、隠れたり、隠されたりする空間が照らされ、生者の視線と交わる。「わたしたち」という奇妙な事象が更新される。 地下と地上、失われたものとまだあるもの、生者と死者、双方を撮影し、「わたしたち」の像を立ち上がらせたかった。 小田香
リアルサウンド編集部