’19センバツ盛岡大付/中 授業も一緒、結束高め 「家族のように」信頼し合う /岩手
<第91回選抜高校野球> 2月初旬。一面雪に覆われた盛岡大付野球部のグラウンドに、気合の入った声が響き渡っていた。「しゃー、お願いします!」。打撃練習で鋭い打球が飛ぶたび、周りからは「いいぞっ」「盛り上がっていこう」などの掛け声。足元から突き上げるような寒さに襲われる厳しい環境の中でも、選手たちは和やかな雰囲気で練習に打ち込んでいる。及川温大主将(2年)は「仲が良く、結束力が強いのが今のチーム」と話す。 盛岡大付は2年前、野球部員のみで編成する「野球部クラス」を設けた。大会で勝ち進んだ場合、授業を長期間抜けざるを得ないことへの配慮からだ。 主力の2年生のクラスは39人が在籍し、その半数以上が関西や関東などの県外出身者。仙台市の中学校から進んだ松原瑠来(りゅうく)選手(2年)は「全国から集まった分、考え方や意見の違いもあった」と入学当初を振り返る。だが野球部クラスの設置で、寮生活に加え、授業から学校-グラウンド間の移動まで一緒に過ごす時間が増え、互いへの理解や信頼感が高まっていった。岡田光輝選手(2年)は「練習以外の時間にもみんなの様子が見え、個々の性格がわかるようになった。互いに指摘もしやすい」と語る。 選手たちがクラスの結束を生かす象徴となったのは、昨秋の県大会盛岡地区予選。準決勝で盛岡商に7-9と逆転負けを喫した後、選手たちは納得できるまで話し合い、各自の目標など「初心に戻る」ことを確認し合った。その後の練習では、個々が課題を意識し、代走に向けた走力強化や、筋力トレーニングなどを自主的に取り入れるようになった。 辺りが暗くなり、練習を終えた部員たちによるある日のミーティング。野村康太副主将(2年)が声を上げた。「全員が『うまくなりたい』という意識をもっと持って練習しないといけない」。その言葉に、みんながうなずいた。 野球部クラスの2年生の教室には、みんなで話し合って決めた「氣愛(きあい)」という言葉が掲げられている。「氣」には八方に気づける感覚を持とう、「愛」には人を大切にしよう、という気持ちが込められている。「今のチームは互いに信頼し合い、家族のような存在。みんなで目標に向かっていける」。エースの阿部秀俊投手(2年)はそう感じている。 日本一になれるチームへ--。センバツ本番まで結束力を高め合う。【日向米華】