【ライブレポート】KIRINJI、25周年ライブで示した現在地「ここまで来たらずっとやろうと思ってる」
KIRINJIのメジャーデビュー25周年を記念したワンマンライブ「KIRINJI 25th ANNIVERSARY LIVE」が5月25日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催された。 【画像】堀込高樹(Vo, G)(撮影:藤井拓)(他25件) 1996年10月に堀込泰行、堀込高樹の兄弟2人で「キリンジ」として結成され、2013年の堀込泰行脱退後、バンド編成で再始動したKIRINJI。2021年からは堀込高樹のソロプロジェクトとして活動し、昨年メジャーデビュー25周年を迎えた。 今回のワンマンライブでは、そんなKIRINJIの多様な活動形態を反映するかのように、堀込が弾き語り、アコースティックバンド、エレクトリックバンドと、さまざまな編成でパフォーマンスを披露。バンドメンバーとして千ヶ崎学(B, Contrabass)、シンリズム(G, Cho)、伊吹文裕(Dr)、宮川純(Key)、小田朋美(Vo, Piano, Synth / CRCK/LCKS)、MELRAW HORNSを迎え、KIRINJIがたどり着いた現在地を示した。 ■ 弾き語り / アコースティックセット 開演時間は17:30。満員の観客の前に堀込は1人で現れ、大きな拍手で包まれる。「こんばんは。ようこそいらっしゃいました」と挨拶した彼は「いきなり始めるの緊張するんで、ちょっとダラダラさせて」と呼びかけつつ、ギターを爪弾くと「キリンジ」時代の楽曲「ムラサキ☆サンセット」を穏やかに歌唱。観客がじっと聴き入る中、堀込は「ネンネコ」「虹を創ろう」「一度きりの上映」「愛のCoda」と新旧の楽曲を弾き語りで次々に披露し、優しい歌声を響かせる。 「まぶしがりや」では千ヶ崎が静かに現れ、堀込の後ろでコントラバスを奏でる。そこへ小田が流麗なピアノの演奏で加わって「薄明」が始まると、堀込はドラマーの伊吹も迎えたアコースティックセットでライブを進行。「きもだめし」では温もりあふれる演奏を届け、「fugitive」では途中でテンポアップするスリリングな展開で観客を惹き付ける。さらに堀込はラジオの企画から生まれた未リリース曲「猫の声」に続けて「キリンジ」時代の人気曲「Drifter」を歌ってファンの心を打つと、絵本「あの人が歌うのをきいたことがない」のために制作した楽曲を披露。情感豊かな歌声と演奏により絵本のさまざまな場面を描き、アコースティックセットでのライブを締めくくった。 ■ エレクトリックセット~オールラインナップ 堀込が休憩する映像が流れる約25分の転換時間を経て、ステージに戻ってきた彼は、インストナンバー「ブロッコロロマネスコ」を皮切りにエレクトリックバンドセットでライブを展開。バンド編成時代の代表曲とも言えるダンサブルな「時間がない」「非ゼロ和ゲーム」を連発し、ゲーム「アイドルマスター」シリーズへの提供曲「LEMONADE」で会場を盛り上げると、韓国語ラップを披露する「killer tune kills me」やクールなギターソロを聴かせる「Almond Eyes」など、2019年に発売されたアルバム「cherish」の収録曲を畳みかけ、それまで座っていた観客を次々に立ち上がらせていく。 「『あの娘は誰?』とか言わせたい」ではMELRAW(Sax, Fl)が登場し、巧みなサックスプレイを披露。続く「After the Party」では具志堅創(Tr, F.Hr)と川原聖仁(Tb)が楽曲を彩り、「再会」には華波(Sax, Cl)も加えたホーン隊全員が参加した。ライブも終盤に差しかかる中、ファンを驚かせたのは1998年発表の楽曲「かどわかされて」だ。「キリンジ」時代は弟が歌っていた楽曲を自身の歌声で蘇らせた堀込は「デビューした頃は、こんな長く続けるとは、しかも1人でやってるとは思わなかった」と笑いつつ、「ここまで来たらずっとやろうと思ってる」と宣言。会場に集まったファンを喜ばせた。 その後も「朝焼けは雨のきざし」「明日こそは / It's not over yet」「イカロスの末裔」とさまざまな年代の楽曲をホーンセクション入りのバンドで演奏し、ハイカロリーな「Pizza VS Hamburger」の熱演でライブ本編を終えたKIRINJI。アンコールでは最新アルバム「Steppin' Out」からポジティブな力にあふれた「Rainy Runway」「Runner's High」の2曲をバンド編成で届ける。そしてステージに1人残った堀込は、「KIRINJI」として再始動した2013年の楽曲「進水式」を最後に弾き語りで披露。新たな船出を力強く歌い上げ、今後の活動への意志をにじませた。 KIRINJIは9月から11月にかけて弾き語りツアー「KIRINJI 弾き語り ~ひとりで伺います」を開催。KIRINJIのオフィシャルファンクラブでは6月5日までチケットの第1次先行抽選予約を受け付けている。またBitfanとStreaming+では、5月31日20:00まで25周年公演の配信チケットが販売されており、購入者は同日23:59までライブのアーカイブ映像を視聴可能。Bitfanではライブ当日の楽屋やステージ裏に密着したメイキング映像、ライブ参加メンバーによるビジュアルコメンタリーとアフタートークの生配信を視聴できるチケットも販売されている。ビジュアルコメンタリーとアフタートークは6月22日に配信される予定だ。 ■ セットリスト □ 「KIRINJI 25th ANNIVERSARY LIVE」2024年5月25日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) <弾き語り> 01. ムラサキ☆サンセット 02. ネンネコ 03. 虹を創ろう 04. 一度きりの上映 05. 愛のCoda 06. まぶしがりや <アコースティックセット> 07. 薄明 08. きもだめし 09. fugitive 10. 猫の声 11. Drifter 12. あの人が歌うのをきいたことがない <エレクトリックセット~オールラインナップ> 13. ブロッコロロマネスコ 14. 時間がない 15. 非ゼロ和ゲーム 16. LEMONADE 17. killer tune kills me 18. 休日の過ごし方 19. Almond Eyes 20. 「あの娘は誰?」とか言わせたい 21. After the Party 22. 再会 23. かどわかされて 24. I ♡ 歌舞伎町 25. 朝焼けは雨のきざし 26. 明日こそは / It's not over yet 27. イカロスの末裔 28. Pizza VS Hamburger <アンコール> 29. Rainy Runway 30. Runner's High 31. 進水式(弾き語り)