暗号資産が上昇するなか、再び高まる「DeFiの夏」への期待
2023年、DeFiは低迷し、暗号資産(仮想通貨)業界が直面した多くの苦難の1つとなっていた。 米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとする中央銀行が金利を引き上げていたため、伝統的な(多くの場合、よりリスクの低い)投資の方が魅力的に見えた。より安全な米国債の利回りが高いのに、なぜDeFiに資金を突っ込む必要があるのか? しかし、暗号資産業界が活気を取り戻し、「DeFiの夏」と呼ばれた2020年の賑わいを思い起こさせるなか、DeFiは今、再び上昇傾向にあるように見える。 DefiLlamaのデータによると、7日間平均のDeFi利回りの中央値は、2023年の大半は3%を下回り、2%を何度か割り込んだが、2024年3月には6%近くまで急増した。 メーカーDAOのDSRに担保を差し入れると、ユーザーは15%の利回りを得ることができる。DeFiのよりリスクの高い分野に足を踏み入れる余裕のある人は、Ethena Labsのようなところを通じて27%の利回りを得ることができる。 これらの高い水準は、銀行が米ドル建てデリバティブや融資の価格決定に使用する金利であるSecured Overnight Financing Rate(SOFR:担保付翌日物調達金利)を上回っており、そちらは現在、約5.3%となっている。 機関投資家からの強力な追い風が現在の暗号資産強気市場を牽引しているが、これは、ブラックロック(BlackRock)やフィデリティ(Fidelity)などのビットコインETFが1月に登場したことに加えて、伝統的な金融機関が現実資産(RWA)のトークン化(ブロックチェーンで取引されるトークンを通じて従来の資産の所有権を表すこと)に関心を示したことに端を発している。 過去1年、JPモルガンやブラックロックのような伝統的な金融機関、あるいはOndo Financeのような暗号資産スタートアップは、米国債やマネーマーケットファンド(MMF)のような高利回りの資産をトークン化することに注力してきた。