暗号資産が上昇するなか、再び高まる「DeFiの夏」への期待
TradFiの金利を上回る
しかし、ステーキハウス・ファイナンシャル(Steakhouse Financial)の共同設立者であるセバスチャン・デリヴォー(Sébastien Derivaux)氏によれば、暗号資産とDeFiは10月に上向き始めた。DeFiの利回りがSOFRと並び始め、後に上回るようになった頃だ。トークン化された従来の金融商品よりも、むしろ暗号資産ネイティブなDeFi商品の方が魅力的に見え始めた。 「強気相場には、レンディングプロトコルの金利が上がるのが通例だ。パーペチュアル市場ではさらに上昇した(個人トレーダーがDeFiでレバレッジをかけるよりも、パーペチュアル市場を提供するオフショア取引所を利用する方が簡単と判断したからだと推測される)」とデリヴォー氏は指摘する。 ビットコインETF承認後の数カ月は、この傾向が強まり、2020年初頭の新型コロナウイルス危機の激化に続く、比較的急速な金利上昇と並行している、と現実資産(RWA)のトークン化のパイオニアであるセントリフュージ(Centrifuge)CEOのルーカス・フォーゲルサング(Lucas Vogelsang)氏は言う。 「我々は実は、市場で2つの完全な変化を経験した。FRBは言ってしまえば、一夜にして金利を変更した。少なくともゼロから2%、3%へとかなり早く変化し、DeFiの様相は完全に変わった」とフォーゲルサング氏は語り、「強気相場で価格が徐々に上昇し始めたが、2カ月後の現在、DeFiとTradFi(伝統的金融)のレートはまたまったく逆になっている」と続けた。
「未熟さの表れ」
暗号資産業界はまだ比較的小規模であるため、強気な人々に貸し出す資本が不足しており、その結果、強気な人々は高金利での借り入れを嫌がらない。機関投資家は明らかに暗号資産に興味を持っているが、実際には市場の需要のギャップを埋めているわけではない、とフォーゲルサング氏は指摘し、次のように語った。 「オフチェーンの金融市場では、供給が不足しているからといっても12%の利回りは望めない。誰かが不足分を埋めるからだ。オンチェーンではそうはならない。そういう意味では、未熟さの表れだ」 DeFiのレンディング金利の中には持続不可能と思えるほど高いものもあり、過去に破綻した暗号資産プロジェクトを思い出させる。しかし、例えばMorpho Labsのようなプラットフォームでは、LTV(ローン・トゥ・バリュー:担保に占める融資の割当)は比較的低いとドラゴンフライ(Dragonfly)のゼネラルパートナーであるロブ・ハディック(Rob Hadick)氏は指摘する。 「レンディングが戻ってきたのではなく、預金が戻ってきたのだと思う。人々が利回りを求めているからだろう。しかし、今は数年前ほど再担保化は進んでいない」とハディック氏。 ドラゴンフライはEthena Labsに投資しており、ハディック氏は、Ethena Labsのプラットフォームで得られる超高利回りは、純粋なレバレッジに支えられているのではなく、スポット市場をロングし、関連する先物をショートする、ベーシストレードに従っていると指摘した。 「市場が変われば、金利は下がるかもしれない。しかし、伝統的な意味でのレバレッジとは違う。経済的でなくなれば、取引を解消するだけた。『自滅して、担保が清算されることになる』こととは違う。この種の取引では、そのようなことは起こらない」と、ハディック氏は語った。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:DeFiの利回り(DefiLlama)|原文:Amid Giant Crypto Rally, Hopes for Another DeFi Summer Soar
CoinDesk Japan 編集部