テスラ株が7%急騰、トランプが「ロボタクシー」優遇の可能性で
テスラの株価は11月18日、次期大統領のドナルド・トランプが自動運転車に好意的な規制を進めるという報道を受けて急上昇した。この動きは、世界一の富豪で、トランプの盟友でもあるイーロン・マスクが率いるテスラに恩恵を与えるとみられている。 テスラの株価は18日午前に約7%上昇して340ドルを突破し、大統領選の直後につけた2年半ぶりの高値の350ドルに近づいた。この株価の上昇は、トランプの政権移行チームが、自動運転車に関する連邦規制の制定を計画しているという17日のブルームバーグによる報道を受けてのものだ。 この動きは、マスクが2026年までに導入したいと述べているロボタクシーの「サイバーキャブ」の展開を後押しする可能性がある。 現行の運輸省傘下の国家交通安全局(NHTSA)は、テスラの半自動運転プログラムの低視界条件下でのパフォーマンスに関する安全性を調査しているが、この報道は、規制当局の大きな姿勢の転換の可能性を示唆している。 「トランプがNHTSAによるテスラへの調査を終わらせる可能性がある」と、バーンスタインのアナリストは18日の顧客向けメモで述べ、トランプ政権がテスラの自動運転車の普及を後押しするための複数の方法を示唆した。 これらの方法には、車両の安全法の修正を通じて公道での試験を迅速化することや、各州に対して「フルセルフドライビング」を含むテスラの自動運転テクノロジーのテストを容易にするよう立法上の圧力をかけることが含まれている。州は、これに従わない場合に道路の予算配分を減らされるなどのペナルティに直面する可能性がある。 報じられた自動運転車の承認を優先する計画は、トランプ政権が厳しい規制環境に置かれているテスラをどのように扱うかを示す最新の兆候だ。トランプは、EV購入者向けの7500ドルの連邦税額控除を廃止する計画だとロイターは先週報じたが、これを受けてテスラ株は一時的に10%ほど下落した。しかし、アナリストの大半は、この税額控除の変更がテスラよりも他のEVメーカーにより大きな打撃となると考えている。 また、トランプが支持する中国に対するタカ派の貿易政策も、中国での販売が約30%を占めるテスラに大きな打撃となる可能性がある。しかし、一部の専門家は、関税に反対しているマスクが、テスラに有利な政策を作るための強い発言力を持つ可能性があると考えている。ここには、特別な免除措置が含まれるかもしれない。 バーンスタインのアナリストは、トランプ政権がテスラに追い風を与える可能性がある他の分野も特定している。その中には、「異例ではあるが現実的なシナリオ」として、トランプ政権になることで連邦政府が保有する約70万台の車両がすべてテスラ製のものに置き換えられるというシナリオが含まれている。 「私は電気自動車(EV)を支持する。なぜなら、イーロンが非常に強く私を支持してくれたからだ」と、かつては自動運転車やEVに対して懐疑的だったトランプは8月に述べていた。 世界で最も裕福な人物であるマスクは、大統領選挙後のテスラ株の上昇により、500億ドル(約7兆7000億円)以上の資産を増やしている。彼の推定資産は、18日に約120億ドル(約1兆8500億円)増加し、約3150億ドル(約48兆7000億円)に達している。
Derek Saul