エーゲ海に沈みゆく古代遺跡 ギリシャの世界遺産・デロス島
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【6月29日 AFP】エーゲ海(Aegean Sea)に浮かぶ、ギリシャのデロス(Delos)島。国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage Site)に登録されており、古代ギリシャ・ローマ時代の最も重要な遺跡の一つだ。 だがデロス島は海面上昇などが理由で、遺跡の一部が水没し、島の海岸線は数十メートル後退しているという。専門家は「あと50年程度で消滅する可能性もある」と指摘する。 デロス島におけるフランス考古学調査団の団長を務めるジャンシャルル・モレティ(Jean-Charles Moretti)氏によると、大理石製のベンチだった遺物は海面上昇により半分ほど壊れてしまい、中には完全に水没した遺物もある。 「私が立っている場所と古代の海岸線との間には約30~40メートルの距離がある。これは海面が上昇したことをはっきりと示している。古代に比べて海面は2.5~3メートル高くなったと推定されており、現在は急速に上昇している」 近年になって海面の上昇率が明らかに進んでいることも専門家の間で確認されていて、一部の遺跡を支えるなどの緊急対策も施されている。 アテネフランス考古学学院 (EFA)は、ギリシャ政府の承認を得て過去150年にわたりデロス島の遺跡の発掘調査を行ってきた。学院長のベロニク・チャンコウスキ(Veronique Chankowski)氏は「デロス島は50年ほどで消える運命にある。私たちにたくさんの情報を提供してくれているこの考古学公園も、数年後には見ることができなくなるだろう」と話した上で、気候変動による海面上昇や地殻変動がデロス島における危機の要因だと説明した。 映像は5月に撮影。(c)AFPBB News