最強の源氏物語オタが見抜いた「物語」の役割、「書は人間に必要」を示したまひろ最後の物語【光る君へ】
1000年の時を越えて読み継がれる長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。12月15日放送の最終回「物語の先に」では、女性文学が花開いた時代の「物語」の役割について、菅原孝標の娘のオタトークやまひろと道長の最後の語らいを通して浮き彫りになった。 【写真】「語らえる仲に戻ってるの見られるのはうれしい」と話題に、笑い合うまひろとききょう ■ 道長の魂をつなぎとめるために…最終回あらすじ 物語を書くことを止めたまひろの家には、のちに『更級日記』を記すことになる「菅原孝標の娘」ことちぐさ(吉柳咲良)が遊びに来るようになっていた。ちぐさはまひろが当の作者とも知らず、光る君や作品の批評を熱心に語る。入れ違いでやって来た「清少納言」ことききょう(ファーストサマーウイカ)は、自分たちの書いた文章は政を動かしたと振り返り「たいしたことを成し遂げたと思いません?」と、まひろと笑いあった。 まひろは藤原道長(柄本佑)の嫡妻・倫子(黒木華)に呼び出され、道長の魂をつなぎとめるよう乞われる。道長に「新しい物語があれば、それを楽しみに生きられるやも」と言われたまひろは、子ども時代の道長を主人公にした物語を、少しずつ語り聞かせるようにした。しかし道長の反応は、少しずつにぶくなっていく。あるとき、自宅で文机に向かったまひろは、ふと自分の名前を呼ぶ道長の声を聞き、その死をさとるのだった。
女性文学者たちが才能を発揮できたのは…菅原孝標の娘が見抜く
紫式部(まひろ)や清少納言(ききょう)をはじめ、数多くの女性文学者たちが誕生した平安時代中期。世界的に見ても類まれなムーブメントが生まれたのは、「随筆や物語には政治を動かす力がある」と権力者たちが判断したからというのが、『光る君へ』では描かれていた。文章を書くうえで決して欠かせない、当時は高価な「紙」が存分に与えられる環境でないと、彼女たちはその才能を発揮できなかった・・・という説が、近年唱えられるようになったからだ。 それゆえにまひろもききょうも、作家としてのライバル意識というよりも、お互いのバックに着いた政治家の動向によって、その関係を崩しかけるというシーンもあった。女性たちによる華やかなカルチャーは、結局は男の思惑によって動かされていた・・・ということを、このムーブメントの最終走者ともいえる菅原孝標の娘(ちぐさ)が「男たちに好評でなければ、これほど世に広まりません」と看破したのは、さすがの感性だろう。 ただ、ちぐさがまひろを『源氏物語』の作者本人とは知らず、作家の気持ちを勝手に分析するシーンには、SNSで「おそらく日本史上初のヲタク。源氏物語のヲタクの考察を作者にするという展開www」「目の前の老婆が推し作品の作者だと知ったら・・・」「ぎゃぁぁ作者目の前に知らずに語るなんて恥ずかしすぎて死ぬやつ!! 一生知らないでいてあげて!」「事実を知った時の黒歴史化がスゴイ事になりそう」など、特に身に覚えがありそうな人たちからの悲鳴が上がっていた。 さらに、そんなちぐさとすれ違ったききょうとは「私たちが政治を動かしたのよね」「水や米と同じぐらい書物は大事よね」と、自分たちの功績を確かめ合うようなトークを。これにもSNSは「語らえる仲に戻ってるの見られるのはうれしい」「こんな風に語り合っていた姿が史実でもあったらいい、あったかもしれない、そんな夢を見させてくれる、最高のシーン」「全古典マニア・全歴史オタクの夢の光景が叶った瞬間」などの声が上がっていた。