佐々岡真司氏 5回に主導権を渡さなかったアドゥワの1球 三振が欲しい場面で取れたのが勝利へつながった
◇交流戦 広島4-1ロッテ(2024年6月9日 マツダ) 【佐々岡真司 視点】アドゥワのフォームは右肘をやや下げたスリークオーター。ここ数試合は腕が上がったように映っていたが、この日はまた、いつもの位置に下げたように見えた。ラプソード(球速や回転数、回転軸、変化量などを測定する機器)で腕の角度を修正したのではないか。その成果なのか、低め低めを突いて制球も良かった。 試合展開上でのポイントは5回だ。無死二塁から進塁打で1死三塁になったものの、安田は内角を攻めながら最後はフォークで空振り三振に斬った。三振が欲しい場面で取る。主導権を渡さない大きな1球だった。 救援投手の入りについても触れておこう。矢崎、島内が与えた最初の打者への四球。後者は何とか無失点に抑えたものの、競った展開だと一つの四球が致命傷になりかねない。本人たちが一番よく分かっているはずだ。 重要なのは、打者への初球をMAXで入れるかどうか。私が投手コーチだった当時は、投球練習の5球を大事に…と口酸っぱく言った。一発や四球を避けなければならない場面での登板。初球がストライクだと優位に立てる。そのために5球を全力で投げる。もう一度考えてみてほしい。(スポニチ本紙評論家)