オランダ人監督とプレミアリーグの相性は決して良くない
また、デブールは開幕4連敗、ノーゴールという不名誉すぎる記録を残し、わずか77日間で解雇。当時、ユナイテッドを率いていたジョゼ・モウリーニョに、「プレミアリーグ史上最低の監督」とまで酷評されている。
13年12月、成績不振のヨルを引き継ぎ、アシスタント・マネジャーから昇格したミューレンステインも3勝1分9敗。わずか3か月の短命に終わった。
オランダ代表の監督まで務めたアドフォカートも、経済力やマンパワーで上位に太刀打ちできないサンダーランドでは無力だった。
さらに、同僚や経営陣、サポーターともめてその座を追われた者も少なくない。フリットはニューカッスルでアラン・シアラーと冷戦状態に陥り、サウサンプトンを率いていた当時のクーマンは、契約年数をめぐって上層部との関係が修復できなくなった。
そしていま、テンハフは地元紙『Manchester Evening News』を「フェイクメディア」と罵倒。記者会見から締め出すほど、関係はギクシャクしている。
かのヨハン・クライフは、みずからの哲学を絶対に曲げなかった。ハンス・オフトはラモス瑠偉、柱谷哲二といった古株にもいっさい妥協せず、ファンハールは「システム重視で自信過剰」と批判されもした。
オランダ人の監督はみずからに絶対の自信があるのか、柔軟性が乏しいのか。
なお、09年2月、アストンヴィラから2-0の勝利を収めたヒディンクを除く8人が、すべてプレミアリーグの初戦でつまずいている。フリットはチェルシーでもニューカッスルでも1ポイント。ファンハールはスウォンジーに、テンハフはブライトンに、ともに1-2の辛酸を舐めている。24/25シーズンの開幕戦で、スロットも痛い目に遭うのだろうか。
いずれにせよ、全世界のリヴァプール・サポーターに愛されたクロップの後任だ。スロットはやりがいとともに、途轍もないプレッシャーに苛まれる。かかる圧はフェイノールトの3倍増、いやいや300倍増だ。