農水産業の支援拡充を 鹿県策定「群島振興開発計画」など説明 奄振審議会
奄美群島振興開発審議会(石塚孔信会長)の第120回会合が2日、東京都千代田区の中央合同庁舎であった。オンラインを含め委員9人が出席。改正奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の成立を受け、2025年度の奄美群島振興開発事業関係予算の確保や農水産業への支援拡充、沖縄との交流促進などについて意見を出し合った。 同審議会は、奄振法の規定で国土交通省が設け、鹿児島県奄美群島の振興開発に関する重要事項を調査審議している。 国会で3月、28年度末まで5年間延長となる改正奄振法が成立。これを受け、国交省は5月に同審議会の意見などを取り入れて「奄美群島振興開発基本方針」を策定した。鹿児島県も7月、同基本方針や奄美群島12市町村の「奄美群島成長戦略ビジョン2033」などを踏まえ、移住・定住を促進するための方策など6本の柱を据えた「奄美群島振興開発計画(24年度~28年度)」を発表している。 審議会では始めに、国交省の担当者から23年度に奄美群島の振興開発に関して講じた施策について、鹿児島県の担当者からは奄美群島振興開発計画についてそれぞれ説明があった。 続く質疑では、和泊町で農業を営む伊村達児委員が「島の子牛の価格が下落して売り上げが減少している一方、輸入飼料の価格が高騰して経営を圧迫し、畜産を廃業する人が相次いでいる」として、群島内で飼料の増産体制を構築するなど畜産業への支援拡充策を訴えた。 大島郡町村会長の高岡秀規委員は「奄美群島振興交付金では飼料の自給率を上げ、農業の生産コストを下げる施策など農業振興のソフト事業にも使えるようになったはず。いずれもお金がかかることなので、25年度の当初予算の確保をまずはお願いしたい」と要望した。 NPO法人離島経済新聞社代表理事の鯨本あつこ委員は「(改正奄振法では)沖縄との連携を掲げているが、確実な連携につなげていくためには沖縄側のメリットも考える必要がある」などと指摘した。 奄美群島振興開発基金は、繰越欠損金が増加していることを踏まえ、9月に基金内にコンサルティング業務を担当する「経営支援課」を設置。「有料の事業者支援事業を手掛けるなどして経営改善に取り組んでいく」との説明があった。