「学校に無理して行かなくてもいいよ」→親に不登校を放置された子どもの行く末は?
このように不登校から成人後のひきこもりへの移行が懸念されるため、安易に、学校に行かなくていいとも言い難い状況になってきている。 小・中学校時代に不登校を経験した子どもたちの多くが高校に進学しており、学校にもっと行っていればよかったと思っていることを考えると、不登校になった時点で早々に学校復帰を諦めずに、まずは学校への復帰を全力で支援することが重要なのではないだろうか。 たとえば、文部科学省が2021年に実施した、前年度に不登校であった小学6年生と中学2年生を対象とした「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」によれば、学校を多く休んだことに対して、小学6年生では、「もっと登校すればよかったと思っている」という者が25.2%であるのに対して、「登校しなかったことは、自分にとってよかったと思う」という者が12.8%というように、不登校を後悔している者の比率が不登校を肯定している者の比率の2倍となっている。
中学2年生にいたっては、「もっと登校すればよかったと思っている」という者が30.3%であるのに対して、「登校しなかったことは、自分にとってよかったと思う」という者が10.3%というように、不登校を後悔している者の比率が不登校を肯定している者の比率の3倍となっている。 このような不登校経験者を対象とした調査データからも、不登校に陥った際には、まずは第一に学校への復帰に向けて支援すべきであろう。 ● 「学校に行きたくない」生徒の 8割以上が高校には進学している また、文部科学省による「不登校に関する実態調査~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査」では、中学3年生在籍時に不登校であった生徒に対して5年後に追跡調査を行っている。 その結果をみると、不登校だった生徒の85.1%が高校に進学している。さらに大学・短大・高専に進学した者も22.8%となっている。こうしたデータをみると、たとえ中学生時に不登校であっても、その後ほとんどの者が高校に進学していることがわかる。 学校に通うことを軽視する風潮があるが、このような不登校経験者の意識やその後の進路についてのデータをみると、学校に行かなくてもいいと安易に考えるのは早計であるといってよいだろう。
榎本博明