「ライオンの隠れ家」非日常の中に浮かび上がる〝家族〟【序盤の布石が光る第7話】【兄の本音を受け止める弟】【みっくん、一緒に寝よう】
◆音みかんの「エンタメ」ワクドキWACTHING ドラマ、映画、アニメ好き。「三度の飯より…」とは言い切れない食いしん坊・音みかんが個人の趣味に〝全フリ〟したチョイスで昔の名作から最新作までエンタメ作品を語ります。#エンタメQ ■非日常の中に浮かび上がる〝家族〟3人のバックショット【写真】 22日に放送された金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」(TBS)。ホームドラマとしても秀逸な作品の第7話は、今まで描かれてきた日常が布石となり〝家族〟をより強く感じる回となった。またDV夫役・向井理の怪演も光り、さらに話題を呼んでいた。
■〈以降、ネタバレあり。ご了承の上、お読みください〉
この物語は両親を亡くし、茨城県の実家で2人で暮らしていた小森洸人(柳楽優弥)と弟・美路人(みちと、坂東龍汰)の元に謎の少年・ライオン(佐藤大空)がやって来る所から始まる。 初めは〝凪〟のような生活に〝嵐〟を巻き起こす存在だったライオン。それが徐々に、周囲の力を借りながら3人が家族になっていく様が前半で丁寧に描かれていた。 そして、第7話で描かれたのは〝非日常〟だ。ライオンは、洸人と美路人の姉で家出した橘愛生(尾野真千子)の息子だったが、DV夫の祥吾(向井理)から逃れるために小森家に連れて来られた。だが、家バレする状況に陥ってしまい、洸人と美路人の3人で新潟の佐渡島へ行くことに…(サラッと書いているが、週刊誌にも追われサスペンス要素もあり重厚な内容だ)。 追い詰められた洸人は「秋休みを取って旅行に行こうと思います」と事情を知らない美路人とライオンに提案する。家を離れるということ…それは自閉スペクトラム症の美路人、通称「みっくん」にとって、生活のルーティンを壊すことになり一番大変な事なのである。それを誰よりも分かっている洸人が、悩み、それでもみっくんを説得し連れ出そうとする過程で語られる言葉の数々が胸を打つ。
■3人が顔を寄せ合う寝顔はまさに〝家族〟
大学に進学し実家を出る時には「もう自由だ、もうここに戻らなくていいんだ」と思ってしまったこと、父と母が突然亡くなって戻ってからも「本当に大変だった」こと、そしてライオンがやって来て今までの日常が変化していくことも2人にとっては、大きな出来事だった。思い出とともに素直な気持ちを淡々と話す洸人と、全て受け止めるように聞くみっくんの心のやりとりがしっかりと描かれていて、このドラマの魅力に圧倒されていく。 また、逃亡先の別荘でのエピソードがより強く〝家族〟を感じさせた。テントを張り、皆で同じ場所で寝ることになった3人。普段、午後10時に就寝すると決めてるみっくんに対し、早い時間に「みっくん、一緒に寝よう」とゴネるライオン。攻防戦になり、洸人が間に入ろうとしたその瞬間。まさかまさか、みっくんが自分の寝る時間よりライオンの時間を優先させたのだ! 何気ない出来事だと思われるかもしれないが、ドラマを観続けてきたファンにとっては〝すごい〟出来事だった。 繰り返し描かれてきた日常で、否応なしにパニックを起こしてしまうみっくんと毎回止める洸人。第2話では時間通りにバスに乗ることを優先してライオンを置き去りにしてしまったこともあったっけ…と思い出されるシーン全てが布石となって感動を呼ぶ。驚いて笑顔になる洸人の姿を見てさらに涙した視聴者は多いと思う。家という枠がない非日常の中でも、3人が顔を寄せ合う寝顔はまさに〝家族〟以外の何物でもなかった。