子どもが「すぐに勉強をやめてしまう」原因を作り出している親の言動
せっかく学習ドリルを買ったのに、早々に諦めて遊んでばかり...。すぐに三日坊主でやめてしまうわが子に頭を抱えている親御さんは多いものです。子どもが継続できない理由、そして三日坊主を抜け出すためにはどうしたらいいのでしょうか。現役小学校教諭であり、継続アカデミー塾長としても活躍するぞう先生が語ります。 【データ】子どものリビング学習は本当に増えている? 成績上位5%の親に聞いた「子どもの学習場所」 ※本稿は、ぞう先生著 『うちの子、脱・三日坊主宣言!』(総合法令出版)から一部抜粋・編集したものです。
そもそも子どもは好きなことしかしないもの
いきなりですが、あなたが子ども時代のことを思い出してみてください。 僕は遊んでばかりいました(笑)。毎日友達と遊ぶ約束をして公園で遊んだり、友達の家でゲームをしたりしていました。帰ってきたら今度は兄と弟と家の中で遊んでいました。 みなさんはどうでしょうか? もしかしたら好きな習い事に明け暮れたり、読書をしたり、絵を描いたりしていた方もいるかと思います。 つまり何が言いたいかというと、子どもは放っておくと好きなことばかりしているということです。そのことをすっかりと忘れてしまい、わが子が遊んでばかりいると、ついつい小言を言ってしまいます。 「遊ぶ前に宿題しなさい!」 「遊んでないで、早くお風呂に入りなさい!」 うちの子はなんで言うことを聞かないのだろう。どうして好きなことばかりするのだろう。だんだんイライラしてきます。宿題、お風呂、歯磨き、片付けなど最低限のことは言われる前にやってほしい。その上で、好きなことをするのは別に構わない。でも......。 その気持ち、とてもよくわかります。僕も三児の父親なので、楽しく過ごすのはいいけれど、やるべきことはきちんとやってほしいと思っています。 ただ、子どもにその都度その都度、先に書いたような言葉を言うだけでやることをやる子になるかといえばそうではありません。また、子どもを放っておいて勝手にそうなるかといえば、それもまた違います(そうであればどれだけ楽か!)。 まずは、子どもは好きなことしかしないものということを頭に叩き込むことから始めましょう。きっとご自身もそうでしたよね。 その上で対策を考えます。「子どもは親の言うことを聞くもの」という前提と、「子どもは好きなことしかしないもの」という前提では、そもそもの対策が変わってきます。 前者であれば、子どもが言うことを聞かない時点でイライラしてきます。イライラするということは、その時点で冷静さを失っているので、言わなくてもいい一言を言ったり、大きな声を出したりしてしまいます。 後者だと、子どもは好きなことしかしないものだと理解しているので、遊んでいてお風呂に入らないときでも、「いつお風呂に入る?」と子どもに決めさせたり、「やっていることが終わったらお風呂に入ってね」などと促したりもできます。 子どもの立場になって考えると、好きなことをやっている最中にいきなり、「お風呂に入りなさい!」と言われてもなかなか気持ちの整理がつかないものです。子どもは基本的に、何も言われていないときは好きなことをやっていますので。 さらに、あなたがもしも、子どもが嫌がることをいきなり継続させたいと考えているのなら、この本をそっと閉じてください。例えばこういうことです。 ●運動が苦手な子に運動を習慣化させようとする ●勉強が嫌いな子に無理やり勉強をさせようとする ●習字が好きではない子に字がきれいになることは大事だと習わせようとする ●泳ぐことが嫌いな子に水泳が体に良いからと習わせようとする このように、子どもが嫌いなことをいきなり継続させようとするのはハードルが高 すぎます。 あなたも、 「運動が苦手でも、今日から毎日5キロ走ってね」 「活字が苦手でも、今日から毎日50ページ本を読みなさい」 「苦手なのは知ってるけど、今日から毎日日記を5ページ分書いて」 と、急にこんなふうに言われたら、ちょっと勘弁してくれとなりますよね。 「じゃあ、好きではないことや苦手なことは継続させることができないのか?」といった疑問がわいてくるかと思います。 答えは「ノー」です。いきなりがダメなんです。 本稿を読んで、よしやってみよう!と、苦手なことを無理やりやらせようとしたり、いきなり結構な量をさせたりすることは絶対にやめましょう。まずは得意なことや好きなことから始めるか、小さなことから始めましょう。 僕のXを見てくださっている方の中にも、継続のコツを教えると、とても大きなことを始めようとしたり、違うことをたくさんやろうとしたり、かなりの量をいきなり自分に課したりする人がいます。 例えば、「経験がないのに、筋トレと勉強とSNS発信を同時に継続しようとする」「今までやっていなかったのに、いきなりジムで毎日1時間のトレーニングをしようとする」などです。 そういった方は、ほとんどが途中で挫折します。地に足が着いたことを、できそうなことから、小さく始めるのが大切です。