F1中国GPの”ペイント”路面処理、FIAは把握もチームやピレリに知らされず「現地入りして驚いた」
5年ぶりのF1開催が実現した中国GP。各チームはタイヤサプライヤーのピレリとFIA双方の情報をもとにシミュレータで準備を重ねてきたが、サーキットに到着してみると明らかに様子がおかしい路面に驚かされることになった。 【リザルト】F1第5戦中国GP:スプリント予選 路面の色が明らかに異なるエリアがあったため、ドライバーたちはサーキットが”ペイント”されているように見えたというのだ。ただ実際は、古いアスファルトの劣化を抑えるために、液体アスファルトを塗布する表面処理が昨年行なわれていたことが判明した。 その後サーキットが使用されたことで、レーシングライン上はこの処理剤の成分が摩耗し、路面がツートンカラーになったのだ。 しかし見た目が変わっただけでなく、この処理はグリップレベルにも影響を及ぼしており、特にアスファルトが残っている部分と摩耗した部分の差は際立っているようだ。 FIAは通常、レースウイークエンド前にサーキットのマテリアル変更についてチームに通知するが、チームとピレリに送られた書類には、この処理に関する通知は含まれていなかった。 さらにピレリは通常、事前にエンジニアを派遣し、コースコンディションに関する最新データを集めるが、今回は手の空いているスタッフがいなかったため、この作業が行なわれなかった。 この問題が明らかになったのは、水曜日にエンジニアたちがサーキットに到着したときだった。 ピレリのF1チーフエンジニアのシモーネ・ベッラは、この処置についてFIAとどの程度のやりとりがあったかと尋ねられ、次のように答えた。 「何の指示もなかったので、我々も驚いている」 「水曜日にいつものコース点検をしているときに気づいたが、この路面が以前のものとまったく違うことは明らかだった」 motorsport.comの調べによると、路面状況に関する警告がなかったことは、金曜朝に行なわれたF1レースディレクターのニールス・ウィティヒとチーム代表の会議で議論されたという。 関係者によると、ウィティヒは作業が行なわれたことを認識していたものの、サーキットのパフォーマンスレベルに重大な影響を与えるような変更ではなく、ホモロゲーションの変更も必要なかったため、チームに知らせる必要はないと考えていたという。 確かにグリップの変化は、大混乱に陥った2020年トルコGPほど極端なものではなかった。しかしベッラは、将来的にはF1のサーキットで行なわれる作業の影響を、特にFIAが明確に示していくべきだと付け加えた。 この件に関するコミュニケーションで何がうまくいかなかったのかと尋ねられたベッラは、次のように答えた。 「FIAに問い合わせる必要はあると思うが、再ホモロゲーションやFIAによるチェックが必要なサーキット変更ではなかった」 「それは中国のサーキット管理者が行なったことで、彼らはそれを誰にも知らせずに行なうこともできた」 「だがFP1では、数周走った後にグリップレベルが向上し、その後ドライバーたちはセッションを完了することになったのだから、これで終わりとは言えないだろう」 「FIAは今後、このような情報を事前に把握するため、サーキットともう少し緊密に協力するようになるだろう」 ただこの夏、上海国際サーキットは路面の全面的な再舗装を予定しており、今回の路面処理が2025年に問題となることはないだろう。
Jonathan Noble