石原さとみ「光を感じられたっていう言葉がすごく大事」 映画への熱い想いを語る<ミッシング>
石原さとみ主演映画「ミッシング」が全国で公開されている。石原と石原演じる沙織里の弟・圭吾役の森優作、中村倫也率いる地元TV局のカメラマン役・細川岳、そして脚本・監督を務めた吉田恵輔監督がティーチイン付き上映会に登場した。 【写真】「ミッシング」ティーチイン付き上映会に登場した石原さとみ ■映画「ミッシング」とは ある日突然いなくなった幼い娘。その帰りを懸命に待ち望みながらも、自分たちの力ではどうにもできない現実との間でもがき苦しみ、事件をめぐるマスコミと世間の声に翻弄される母親とその家族。 事件で世間の注目を浴びた事により、謂れのない誹謗中傷や好奇の目に晒されながらも、いつか必ず会える、その日を信じて、出口のない迷路を彷徨い続ける母親・沙織里を演じるのは、今までの自分を壊して欲しいと、7年前、自ら吉田恵輔監督に直談判をした石原。 さらに、中村倫也、森優作、小野花梨、細川岳、小松和重、カトウシンスケ、山本直寛、柳憂怜、美保純らが集結。“人間描写の鬼”と評される吉田監督は本作を「自分のキャリアの中で最も覚悟のいる作品」と語る。 ■全員が共感するセリフ「虎舞竜」について 公開3週目で興行収入ランキングがアップし、口コミの熱さとリピーターの多さが特徴的な本作。本イベントにも3回以上鑑賞しているという観客が多く、石原は「精神的な負担も大きい作品なのに体力がすごい!」とツッコミつつ、喜びの表情。また、レギュラー番組で共演している俳優の濱田マリが映画を観てくれたことに対しての嬉しさを笑顔で語った。 映画全体はシリアスな内容にも関わらず、この映画を観た人のほぼ全員が共感するのが、細川岳演じるカメラマン、不破がふと発する「虎舞竜…」というセリフ。中村演じる砂田率いる地元テレビ局の取材クルーが沙織里にインタビューするシーンで、娘との日常について「なんでもないような日常が」と真剣に語る中「頭に虎舞竜が浮かびますよね」と水を差す場面だ。厳しい現実と独特のユーモアが共存する吉田監督ならではシーンについて「虎舞竜のくだり、あれは笑っていいのかどうか、悩みました」とコメントした。 ■海外では、“クスクス笑い”がとまらない映画「ミッシング」 ドイツで開催された「第4回日本映画祭ニッポン・コネクション」に参加した際のリアクションについて吉田は「何に対してどう笑ってんのかわかんないけど、日本よりもクスクスってしていた」と語り「日本人は劇場で世界で一番笑わない。その環境で育っているので、海外へ行くとウケてるのが嬉しいなと思うんだけど、なかなか笑いが収まらないから、その後のシーンでもずっとクスクスしてた」と海外ならでのリアクションを振り返った。 そして、石原は“重い映画かも”という先入観で観るのをためらっている人には「観た後、絶対良かったって思うから観てほしい!と勧めています」と話した。また、森は「吉田監督の作品に共通してると思うのは、生きづらさを抱えてる人たちに対しての眼差しがすごい暖かい。この作品に関しては、失踪事件に注視せずにもうちょっと広げて大きい枠で見てみようかなって思ってもらえたら、必ず届くものがあるなって思います」と、おすすめポイントを語った。 細川は「別に重い映画ではないというか、映画としてやっぱり良い作品だと思います。大事なものが一つ増えるような感覚がある作品。映画を観るのに1900円から2000円しますが、この映画は、それだけの価値があるものだと信じているので…薦めていただきたいです!」と述べた。 ■ワークショップで選ばれた警察官とアドリブ連発 「ワークショップで選ばれた方々の中で、お気に入りのキャラクターは」という質問に対し、石原は、夫・豊(青木崇高)と警察署を訪れた際に対応する警察官を挙げ「そのシーンは実は、ほとんどアドリブだったんです。セリフ以外のところもずっと(カメラを)回していて、全部に対してリアクションしてくださるんですよ」と撮影の裏側を明かした。 さらに「打ち上げの時に、沙織里と同じく娘が失踪してしまう母親役の方と、水難事故で子供を亡くしてしまう母親役の方のママ3人で、号泣しながら励まし合うみたいなことがあって!」とつづけてエピソードを披露。撮影を終えてもなお役そのままの気持ちで苦しさを抱えながら助け合いたいという思いを言い合ったといい、吉田も思わず「それは面白い対談だったかもしれない!」とコメントした。 続いて、森が「細川の次に登場するカメラマン」を挙げると、細川も「俺も!」とシンクロ。森は「あの何とも言えない顔の感じ。見る人によって、捉え方が変わる顔というか、それってすごい表現として素晴らしい」と大絶賛し、細川が「2人でカメラの練習しました」と撮影時を振り返った。 ■石原さとみ「映画館に足を運ぼうっていう気持ちになってもらえたらいいな」 最後の挨拶では、吉田は「だいぶ広がってはいるんですけど、それでもまだもっと多くの人に観ていただきたいなっていう欲が止まりません。なので、もっと一人でも多くの人に届くように、皆さんの力を貸していただけたら幸いです。今日楽しいと思ったり、いいなと思ったら、何かお勧めしていただけるとありがたいです」とさらなるヒットへ向けて拡散のお願い。 石原も重ねて、「見てくださってあったかい気持ちになれたとか、光を感じられたっていう言葉がすごく大事な気がするんですね。もし落ちたとしても、そこから上がる光があるんだよってあったかいんだよってことを伝えていただいて、勇気を出して映画館に足を運ぼうっていう気持ちになってもらえたらいいな、とすごく思います」と本作への溢れんばかりの熱い想いを語り締めくくった。 ※吉田恵輔監督の「吉」は、正しくは「土へんに口」で表記する