「ジャニーズ問題」東山紀之氏BBCインタビューで再び炎上 「誹謗中傷」と「言論の自由」の境目は?
「誹謗中傷」にあたる行為とは
人生を破壊され、家族や周囲にも打ち明けられず、長年、悩みを心の奥底にしまってきた被害者が、意を決してカミングアウトしたにも関わらず、それがデマだと罵られる苦悩に想像は及ばないのか。そして「誹謗中傷」と「表現(言論)の自由」の境目はどこにあるのか。さる弁護士事務所関係者はこう話す。 「まず民事で名誉毀損されたことに対する損害賠償請求とは別に、刑事としては、『誹謗中傷罪』という罪状は存在しません。誹謗中傷が犯罪になるのは、『名誉毀損罪』『脅迫罪』『侮辱罪』などですね。特に、インターネットの掲示板で誹謗中傷に関連してくることが多いのは、『名誉毀損罪』です。憲法では〝名誉〟の規定もありませんが、その根拠となっているものは、憲法13条『すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。』、いわゆる幸福追求権です」 名誉毀損について、刑法230条の第1項には以下のようにある。 「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損(きそん)した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」 一方、刑法230条の2第2項には、①公共の利害に関する事実に関係し、②その目的が専ら公益を図ることにあったと認められる場合で、③摘示した事実が真実であることの証明があったときには、免責される場合があるとされている。さらに名誉毀損罪は、「親告罪」であり、相手から処罰を求める届出がない場合には成立しない。 それゆえ、性加害の被害者に対して、「ウソだ」「作り話だ」「どうせ金目当てだろう」などとネット上で書き込むことは、名誉毀損罪に該当する可能性がある。一方で、「表現の自由」については、憲法第21条第一項により、以下のように規定されている。 「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」