おむすび(9月28日)
おむすび処「笑いーと」は、東京・永田町の国会議事堂衆院第一別館の一角にある。お昼に国会議員や秘書らがひっきりなしに訪れる。小さな店内は、本県産コシヒカリを炊いた豊かな香りが漂う▼原発事故が起きた2年後、いわき市の女性が開いた。県産米を使っていると知り、店を出ていく人も当時はいた。常連客が増えた今、ふっくらとした甘みにみんなが夢中だ。女性は「福島のお米はおいしいと言ってもらえるのが励み」と笑顔を見せる▼NHK連続テレビ小説「おむすび」が30日に始まる。橋本環奈さん演じる米田結[ゆい]が栄養士を志し、食を通して人と人をつなげてゆく。進路のきっかけは、幼い頃に経験した阪神大震災。心のこもったおむすびは人を癒やし、励ます。活力そのものだ。関西、東北、そして今また、能登の人も身に染みているだろう▼自民党の新総裁が決まり、立憲民主党の新代表と合わせて新たな対決構図が固まった。国会のお店の女性は慌ただしさの中で世界に視線を向け、県産米粉を使った麺を海外に売り込む。震災から歩みを止めず、世界と心を結び合う人々には超党派でエールを。合言葉は「ふくしまはoishii」。<2024・9・28>