在職中の準備が鍵!「定年後の起業がうまくいく人」の条件
「定年退職したら、自分のペースで働きたい」──そんなことを考えている人にお勧めなのが、個人でできる小ビジネスだ。 成功の秘訣は、在職中から適切な準備をしておくことだと、シニアの起業支援を手がける片桐実央氏は語る。在職中にやっておくべき情報収集や学びについてうかがった。(取材・構成:林加愛) ※本稿は、『THE21』2024年 2月号総力特集『50代からも稼ぐ力が衰えない「学び方」』より、内容を一部抜粋・再編集したものです。
「3つの円」でわかる起業のアイデア
定年退職後に起業をしたい、と考える方が近年増えています。シニアの起業支援を行なう私のところにも、多くの相談者が来られます。 年金だけでは心もとない、と不安を抱いている方、「人生100年時代」において後半生の充実を図りたい方など動機は様々ですが、全体的な傾向として見られるのは、相談時期の早期化です。相談者のほとんどは、50代の方々。つまり、在職中から準備を始める方が多いのです。 確かに、準備の着手が早いほど、起業の成功率は高まります。同時に、準備の内容が適切か、きちんと順を追っているかも重要ポイント。起業に関心のある読者の皆さんにもぜひ、そのプロセスを知っていただければと思います。 最初に行なうべきは、「何を事業化すればよいか」を明確化すること。その際にお勧めなのが、「3つの円」を描いて整理することです。 「①自分のできること、②やりたいこと、③お金になること」という円を描き、それぞれリストアップしましょう。3つが重なり合うところが、最もスムーズに結果を出しやすい分野、ということになります。 とはいえ、たいていの場合、3つの円はそう簡単には重なりません。相談者の方々も、重なるまでに1年くらいかかることが珍しくありません。ですから、焦らず熟考していくことが大切です。 一番書きやすいのは「できること」でしょう。経験してきたこと、得意なこと、褒められたこと、高い実績を上げたこと、持っている資格、などなど。 「やりたいこと」に関しては、「何かはやりたいが、それが何かがわからない」人が意外に多いものです。「できること」の延長線上で考えても今一つ気持ちが乗らない、ということもままあります。 そんなときは、消去法で考えましょう。つまり、やりたくないことを書けばいいのです。例えば「デスクワークはしたくない」「人と会わない仕事はイヤ」「営業は苦手」など。外側から埋めていくと、逆にやりたいことがクリアに見えてきます。 2つの円が重なり合った段階で、「お金になること」かどうかを確認します。そこで、まずは検索をします。行ないたいサービスと、「市場規模」「市場性」などのワードを入れるだけでも、かなり雰囲気がつかめます。 また、中小企業基盤整備機構が運営するサイト『J-Net21』上の「起業・創業」のページでは、世にある多様な小ビジネスの市場規模や、開業のノウハウが見られます。