大阪市の橋下市長退任記者会見【全文3】
大阪府庁と大阪市役所、意思決定機関が、2つあるのは大問題
司会:あと3社ぐらい。そしたら次、関テレさんと読売さんでいったん最後になります。じゃあ関西テレビ。 関西テレビ:関西テレビのと申します。維新の会を立ち上げてから、大阪市役所を解体すると。政党の代表としては訴えられてたわけですけれども、大阪市長として4年間、この市役所のトップに立った上でもやはり解体をしなきゃいけない組織の状況・・・。 橋下:解体っていっても職員が全部クビになるわけじゃないんで。意思決定の在り方を変えなきゃいけないってことです。意思決定の在り方。当たり前だと。企業経営者だったらみんな意思決定のやり方。こんなのもう単純で、じゃあ大阪府内に関西テレビの営業本部が2つある状態を社長が許すかって、そんなばかな社長いませんよ。そこで営業本部長2人が違う意思決定をやって、一生懸命広告取りにいくとかね。そんなわけないじゃないですか。大阪の中で営業本部長1人にしろってなるに決まってますよ。 だからこれは組織の職員を全部クビにするとかなんとかじゃなくて、大阪都構想っていうのはこれは組織論であって、非常に分かりにくいです。なぜかと言ったら企業のトップに立つ人たちっていうのは、やっぱり日本の国内の中でも限られていますから。しかもそれが大組織のトップっていうのはね。意思決定の在り方、意思決定をどういうふうにしていくかっていうところがいかに重要か。 これは今回の軽減税率での首相官邸での自民党のあの問題でもそうだと思います。自民党税調というのが意思決定、今までやってたところで、今度は首相官邸のほうも意思決定やるのかどうか。この意思決定のせめぎ合いです。意思決定の在り方っていうのは、組織においてはものすごい重要なんです。だからこれは大阪府における役所の意思決定の在り方として僕は大阪市役所の意思決定だけじゃなくてね、大阪全体の行政の意思決定っていうところを見たというのは、大阪府庁と大阪市役所、意思決定この2つあるのは大問題だと。 これは役所の問題だけじゃないですね。一番最大の問題、議会です。まったく府議会と市議会がまとまらないと。これはもう大阪の大不幸ですよ。府議会と市議会をなんとかしなきゃいけないんです。やっぱり役所の意思決定っていうのは知事と市長だけじゃなくて議会派。だからこの、大阪都構想っていうのは、僕は市長っていう立場だからずっとこれまで府庁、市役所の組織論を言っていましたけど、もっと言えば行政の上には政治がある。府議会・市議会、大改革というか、府議会・市議会を一から作り直しという、議会をゼロにして、1回議会をつくり直しましょうというのが大阪都構想の本質ですよ。やっぱり意思決定っていうのは最後は議会なんです。 そういう意味で4年間やってみて、むしろもっとこの大阪においての大阪府庁、大阪市役所、この大阪における行政の意思決定というものを、まあ、在り方、これをやっぱり一からつくり直さなきゃいけないっていうのは、知事・市長をやって痛切に感じましたね。これをちょっと、ここはいろいろ悩んでそれは説明しろ、説明しろってメディアから散々言われるけど、メディアがやってるのは報道であって、議会や一部事務組合こんなことじゃ、これが問題だとか、いくらのお金が外に流れるとか、そんなしょうもないことばっかりやってたからね。それは、260万人の有権者に全部一から説明しろっていうのは難しいから、僕はちょっと財政効果論のほうから入ったんですよ。でもこれは、やっぱ大阪都構想、一発でこれはやっぱり決着付くとは思ってなかったんでね。 東京都政なんかの歴史を振り返ってみても、東京都制は48年かかってるわけですから。そんなもん、3年、4年では無理なんで、それでも協定書、これをまず作り上げて住民投票っていうものを通じながらちょっとでも住民の皆さんに理解してもらおう。そういうことを考えたんで、財政効果論からまず入ってみましたけど。いってそれで、みんなでああやって議論してもらえました。やっぱり次のステージは真正面から、非常に難しい話だけども、大阪における行政の意思決定論というところの真正面から僕はもう、問い掛けていくべき。 で、また住民の皆さんも、十分それは受け止めることができる。そういう市民レベルに僕はなっていると思いますね。初めから意思決定論なんかから入ったら、もうちんぷんかんぷんで何がなんだか分かんないです。いったいなんなのこれ、大阪都構想ってなるけども。まあでも、あそこまで住民投票やる過程において、メディアもいろいろ、僕は腹立つこといっぱいあったけど、それでもメディアはメディアなりにいろいろ報じてくれたこともあって、大阪の皆さんはやっぱり役所の在り方について、ものすごい今、関心度が高まってますから。 やっぱりステップ・バイ・ステップなのでね。僕はそういう意味で最初に意思決定論から入らずに、財政効果論からあえて説明しやすいところ、まず取っつきやすいところから入っていきましたけれども、十分次のステージでは、大阪における行政の意思決定はどうあるべきかというところを、真正面から問うて、それをしっかりと受け止めて議論してくれると僕は思っています。 これは引いては国全体でやらなきゃいけない。だから、辺野古問題もね、あれも意思決定論なんです。防衛政策、基地問題については行政の意思決定はどうあるべきかと。朝日新聞や毎日新聞がどんだけ騒いだところで、デモしようが何やろうが、今の意思決定の在り方だったら、あれは政府側のほうで決めていけば進んで行くわけです。でも本当にそれでいいのと。基地問題はそれだけでいいのっていうことを考えたときに、僕らが現実に実行する、その、世界で生きてきたもんですから、騒いでるだけじゃこんなの変わんないですよ。 結局これは基地問題、引いては沖縄の基地問題を解決しようと思ったら、日本の行政機構の意思決定の在り方を変えなきゃいけないんです。基地問題についてどこがどういうふうに決定していくのか。民主主義のそのプロセスを一からつくり直さなきゃいけない。これは引いては僕は、憲法論になると思います。国の意思決定の在り方をきちっと定めているのが憲法なんでね。だから僕らから言ってる憲法改正論っていうのは、9条の話とかね、ちょっと置いといていいと思うんですよ。 集団的自衛権の話もああいうふうになってきているんで、なんでもかんでもあれやこれややったら国民もパンクしてしまいますから。今、日本にとって一番重要なことは、行政機構の意思決定ですよ。基地問題、慰安婦問題、それから保育所の待機児童の問題。これだって本当、国が決めることなの、と。国が旗振ったって待機児童は絶対解消できません。保育所、現場でニーズに応じた保育所をつくっていかなきゃいけない。単にその何万人枠を増やしますとか、いくら予算付けますと言っても、どこに保育所をつくるかっていうのが一番重要だってことがすごい分かったのね。だから保育所、待機児童の問題なんていうのは、この意思決定はできる限り現場に下ろさないと。中央集権の体制のまんまで待機児童なんて絶対解消できません。 でも逆に基地問題っていう話は、沖縄の基地問題を本気で解消しようというんであれば、今の意思決定の在り方を変えないことには、これはやっぱり基地問題は解決できないし、だから僕はそういう意思決定論ということをずっと言い続けてきたのが、統治機構改革。これは僕は憲法論だと思うし、ここに絞った憲法改正っていうものに、僕は大阪市民だったらもう、大阪都構想を経験したからある意味、こういう話っていうものは、受け入れてくれるんじゃないのかなと思うんですけどね。 関西テレビ:以前、都構想のような複雑な話は2期8年ぐらいかけてやるおつもりはないんですかとお尋ねたところ、政治も分かんねえような記者の言うことは、とおっしゃられたんですけども。17日の記者会見のときには、これだけ世論が割れてる中で、住民投票まで持っていくべきではなかったという見解でしたけれども。 橋下:住民投票に持って行くべきじゃなく、あのタイミングでは負けるところで僕が設定したっていうのは僕の政治判断のミスですね。 関西テレビ:負けるなら住民投票まで。 橋下:だからそれは僕のミスというよりも、だからそれがもう負けの、そこに設定するしかなかった。だから全責任はもう、どっちにしろ負けたのは僕の責任なんだから、何が原因ですかと言ったら、負けるところに住民投票を設定したというところが原因ということで。でもそれを避けるつもりではないですよ。任期中にやろうっていうことを言ってたわけですから。でもそれは、自分で十何年かけて全部このペースでずっとやり続けられるかって、できるわけがないです。こういう話はもう、また次々、次々に引き継いでいってね。エネルギーが、莫大なエネルギーが要るんですから、これは。そんなのはもう、もうのんべんだらりと毎日そんな、無駄な8年だとか言われるような、そんなしょうがない生活を送ってきたわけじゃないんでね。こんなことをもう、8年も12年も16年もやれるような、そんな状況じゃないです。 だからエネルギーが、本気で政治をやろうと思ったらそれだけのエネルギーが必要で、これはもう次々、次々引き継いで、次、またエネルギーがある人にどんどんやっていってもらわないと、こんなもんは無理ですよ。まあ、お飾りの首長だったら20年でも30年でもやれますけども。