早慶、青学だけではない…超人気「私立小学校」の実名 一般家庭にもチャンス到来「小学校受験」の意外な実情
「早慶」だけでなく……
こうしてみると、受験産業全体の中では必ずしも大きなマーケットとは言えないかもしれませんが、やはり誰もが知るような人気校は、かなりの高倍率となっています。24年度入学の試験時の倍率(志願者数から算出)をいくつか紹介すると、以下の通りです。 慶應義塾幼稚舎 10.6倍 慶應義塾横浜初等部 13.2倍 早稲田実業学校初等部 8.9倍 学習院初等科 9.3倍 青山学院初等部 6.5倍 東洋英和女学院小学部 11.7倍 東京女学館小学校 5.9倍 特に早慶をはじめとした有名大学に附属している伝統校人気は根強いですね。 その一方で、各ご家庭の価値観が多様化しているような傾向も見られます。一昔前なら、「慶應幼稚舎に行けなければ意味がない」なんて考え方をお持ちの方も少なくなかったのですが、今は家庭の方針に合うかどうか、あるいはしっかりと“実利”を見極めて受験校を選ぶご家庭が増えているように感じます。 例えば、近年人気が急上昇しているのは、東京農業大学の附属校として2019年に開学した東京農業大学稲花(とうか)小学校。直近の倍率は9.8倍です。将来的に、大学受験に強い東京農業大学第一高校、いわゆる農大一高に進学できるというメリットに加え、英語教育を毎日取り入れていたり、食育を目的とした給食が提供されていたり、新設校ならではの取り組みが、多くのご家庭に刺さっているようです。
「勉強をさせたい」
2013年に開学した慶應横浜初等部にも通ずることかもしれませんが、このような新設校の場合、小学校受験に新たに参入しながらも、伝統校特有の文化には抵抗を持つようなご家庭にとっては、子どもを入れやすいと考えている側面もあるのではないかと思われます。 加えて、農大稲花が7コマ授業を取り入れていたり、慶應横浜初等部が、慶應幼稚舎と違って土曜授業を行っていたりするように、「しっかり勉強させる」という点も、今の保護者の方々には魅力に映っているようです。その意味で、「大学受験に強い高校に進学できる小学校」の人気も上昇傾向にあるのですが、興味深いのは、「中学受験に強い小学校」の人気も高まっている点でしょうか。東京の宝仙学園、神奈川の洗足学園、埼玉ならさとえ学園も有名です。中学受験で再チャレンジができるということで魅力に感じられる方もいらっしゃるようです。もっとも、中学受験を避けようとして小学校受験に臨む方が多い中、小学校受験に成功してもまた中学校受験を控えるという状況にはなってしまうわけですが……。 英語教育が充実しているかどうかも、人気校の条件になりつつあります。例えば、24年度から「国際コース」を新設した昭和女子大学附属昭和小学校は一気に人気が高まりましたね。その意味ではインターナショナルスクールも人気が高まっているのだと思いますが、そちらは学費が年間3、400万円なんていう世界。それに比べたら私立小学校ならせいぜい100万円程度で済む、という考え方もあるわけです。もちろん、私学受験のためには教室に通うお金もかかるという側面もありますが、それを差し引いても、インターナショナルスクールよりはコスパが良いという見方もできるということでしょう。