柏木由紀のAKB48在籍17年を見守った茅野しのぶが語る、アイドルとしての特別さ 「靴を見ればゆきりんの意識の高さがわかる」
「カラコンウインク」衣装には卒業コンサートに向けた仕掛けも
ーー茅野さんは柏木さんの衣装をこれまでたくさん作ってきたと思うのですが、活動の後半は柏木さんとそのほかのメンバーでの年齢差も開いてきました。柏木さんの衣装を作るうえで意識していたことはありますか? 茅野:首元が詰まりすぎていると子供っぽく見えてしまうので少し開けたり、大人っぽく見えるように工夫はしていました。でもゆきりんだけじゃなくて、アイドル、特にAKB48には色々な子がいるので、ゆきりんだけ特別に大人っぽくということもなく、一人ひとりに似合うように気をつけて、でも全体で見た時にバランスがよくなるように作っていますね。 ーー新曲「カラコンウインク」は柏木さんの単独センター曲です。今回の衣装のポイントはありますか? 茅野:すべての答え合わせが卒業コンサートでできると思います。それと、ゆきりんといえばガーリッシュな雰囲気がずっと好きだったから、卒業ソングにどんな曲が来てもいいようにと思って生地だけ先に作っていたんですよ。普通の花柄じゃなくて、茎の部分を深緑色にして、大人っぽいくすんだピンクで。ピンクのリボンやフリルといった可愛らしい雰囲気をふんだんに入れた「柏木由紀」らしい衣装になったと思います。 ■グループ卒業後に期待したいプロデュース能力 ーーAKB48としても、柏木さんの卒業は大きなインパクトを受けることになると思います。 茅野:そうですね。でもこの前研究生公演を見た時に、2007年くらいのAKB48の熱気があるなと思ったんですよ。メンバーもファンの皆さんもすごくアツくて、250人しかいないはずなのに800人くらいいるような(笑)。今のメンバーが「大声ダイヤモンド」を汗だくでがむしゃらに歌っている様子を見て感動しました。アイドルって、まず身近な人を感動させて「私も頑張ろう」と思わせることができるかどうがが大切だと思っていて。「この子と一緒にドームに行きたいな、一緒に夢を叶えたいな」と心から思えて、二人三脚で登り詰めたと思うんです。AKB48って信じられないことばかり起きるんですけど、それでも個性的なメンバーがアイドルになるために懸命に努力することで一気にドラマチックになると思うんです。いろんな人がいるからこそ起きるドラマの数々がAKB48の強さだと思うのですが、最近もそういった鱗片を感じることがすごく多くて、楽しいグループになっているなと思います。面白いキャラクターのメンバーが何人もいて、その子たちが気持ちを一つにしてステージに立った時のパワーは他にはないもの。だからこそ、私は一人ひとりの個性が視覚的にはっきり分かるような衣装をお届けできればいいなと思っています。 ーーいよいよグループの卒業を控える柏木さんですが、卒業後についてどういった活動を期待しますか? 茅野:三つやってほしいことがあるんですけど、一つはやっぱりソロで歌い続けてほしいなと思います。歌って踊れるし、じっくり聴かせる歌も、アイドルソングも歌えるから積極的にライブを続けてほしいです。 あとは、今までは自分のためというよりグループのために仕事をしてきた部分も多いと思うんですよ。今後は仕事だけじゃなくてプライベートも、自分自身のために色々なことに挑戦してほしいなと思います。 それと、アイドルの運営側もやってみてほしいですね。やっぱりステージに立った経験がある人にしか発することができない言葉もあったり、アイドルとして感じた苦悩や喜びはステージに立った人だからこそ分かることが出来ると思うので、彼女の17年間の経験はこれからのメンバーにとって凄く力になるし、支えになる時が来ると思うんです。これだけ長い期間、東京ドームから常設の劇場まで色々なステージから見てきたものを後輩に伝える立場になってほしいなと思います。あと、アイドルはライブが楽しくないといけないと思うのですが、ゆきりんがつくるセットリストが大好きなんですよ。劇場公演のプロデュースなどはすでにやっていて、ゆきりんのプロデュース公演はすごく楽しくて。もしゆきりんが嫌じゃなかったら、プロデュースの才能は絶対にあると思うので挑戦してみてほしいですね。
佐々木翠