23年「農業技術10大ニュース」発表 1位は農研機構の… 気候変動、病害虫対策が目立つ
農水省は25日、2023年の農業技術10大ニュースを発表した。1位は農研機構の「果樹の低温積算時間表示システム」。果樹が休眠から明けるのに必要な「低温積算時間」に園地がいつ到達するかが分かる。この技術をはじめ、気候変動や病害虫に対応する技術が目立った。 1位の同システムは、登録すれば誰でも無料で使える。スマートフォンなどを使い、農家が地図上で調べたい園地の場所を指定すると、低温積算時間の到達日や到達予測日を示す。加温の開始時期の目安などにできる。 2位の畝立て同時乾田直播(ちょくは)は、農研機構などが主に米麦二毛作地帯用に開発した。麦収穫後の直播は降雨の影響を受けやすいが、条ごとに小さい畝を立てることで湿害対策と漏水対策を同時にこなせる。 3位のサツマイモ「べにひなた」は、基腐病の抵抗性を持つ初の青果用品種。まん延している畑でも安定して収穫できる。新品種は他にも、9位に同じサツマイモで「ベニアズマ」の後継として期待される「ひめあずま」、10位にアスパラガスで初の茎枯病抵抗性を持つ「あすたまJ」が選ばれた。 新たな病害虫対策にも注目が集まった。4位は、レーザー光でハスモンヨトウの“急所”を突いて撃退する技術。大阪大学などが発表した。6位の装置は、誘殺した害虫の画像を自動で送信する。8位は、灰色かび病菌が多様な作物に感染する仕組みを明らかにした成果で、この仕組みだけを抑える「RNA農薬」を提案した。 10大ニュースは、農業関係の報道各社の記者らの投票で選定。1年間で報道された新技術や新品種のうち、社会的な影響力が高く、内容が優れた成果を順位付けした。
日本農業新聞