楓ちゃん事件、20年目の捜査秘話 事件報じる新聞を配った犯人の「勘違い」と刑事の執念
朝刊1面トップに「きょうにも重大局面 不審人物浮かぶ」との大見出し。まさに容疑者が配る新聞だった。「この朝刊を間違いなく見ている。もう逃げたかもしれない」。捜査員を駅などに張りこませた。
一方、新聞販売店には配達を終えた小林元死刑囚がいた。任意同行を求めると逃げようともせず淡々と応じた。この時の状況について本人は「新聞を見たとき、自分にはまだ捜査の手が及んでいない。県警は別の人間を犯人と間違えていると思った」と話したという。事件発生から44日目の逮捕だった。
あれから20年がたつが、「住民の命と安全を守る」との思いは変わらない。平成21年に県警を退職し、地元・橿原市内に青色防犯パトロール隊を結成した。75歳の今も、早朝には毎日1時間以上かけて住民と地区を歩き、夕方や夜間に週2回ほど自家用車に青色灯をつけて小学校の周囲などをまわる。
「子供を守ることに定年はない。体が続く限りやめることはありません」(小畑三秋)