【稽古場レポート】劇団四季が藤田和日郎のマンガを“3次元化”、ミュージカル「ゴースト&レディ」稽古中
「劇団四季 最新ミュージカル『ゴースト&レディ』」の稽古場取材会が、本日4月3日に神奈川・四季芸術センターで行われた。 【動画】劇団四季「ゴースト&レディ」東京公演 出演候補キャスト(他17件) これは藤田和日郎のマンガ「黒博物館 ゴーストアンドレディ」(講談社モーニングKC)を原作としたミュージカル作品。作中では、看護の道に強い使命感を抱くフロー(フローレンス・ナイチンゲール)と、芝居好きなゴースト・グレイを中心とした物語が描かれる。脚本・歌詞を高橋知伽江、演出をミュージカル「ノートルダムの鐘」のスコット・シュワルツが担当。出演候補キャストにはフロー役に真瀬はるか、谷原志音、グレイ役に金本泰潤、萩原隆匡がそれぞれ名を連ねた。 稽古では3つのシーンが上演された。まずは1幕4場。ハーバート戦時大臣によって女性看護要員団の団長に任命されたフローは、看護婦と共にスクタリ陸軍野戦病院に向かう。ここでは真瀬演じるフローと、彼女の呼びかけで集まった看護婦たちが、隊列を組んで力強く行進し、声を合わせて野戦病院に赴く決意を歌い上げた。 続く2幕4場は、グレイが生前の自分の人生を回顧する場面。グレイはある女性と恋に落ちるが、それがもとで命を落としてしまう。このシーンでは金本演じるグレイらが大人数でパワフルなダンスを披露し、恋の高揚感を描き出す。最後の1幕8場の舞台は野戦病院。ここでは谷原演じるフローと萩原演じるグレイが美しいデュエットを披露し、2人が思いを重ね合わせるさまを表現した。 その後の取材会には演出のシュワルツをはじめ、出演候補者の真瀬、谷原、金本、萩原、そして劇団四季の吉田智誉樹代表取締役が出席した。原作マンガの感想を、真瀬は「目の描き方が特徴的で、絵からみなぎるパワーがすごい。紙面のエネルギーが、勇敢な心を抱いて突き進むフローをより力強く見せていると思う」と話し、「キャラクターたちを見ていると『信じたいものを信じて人生を歩いていけば良いんだ』と思います。誰しもがベストを尽くして生きているし、ストーリーから勇気をもらえます」とコメントする。 谷原は「普段マンガを読み慣れていないのですが、『黒博物館 ゴーストアンドレディ』は面白くてあっという間に読みました。ナイチンゲールという偉人が“普通”の女性として描かれていて共感できる」と目を輝かせ、「冒頭でフローは暗い気持ちを抱えていますが、最後は変化している。私自身も彼女の変化を楽しんで演じているし、お客様にも同じことを感じてほしい」と観客にメッセージを送った。 金本は「実はグレイがこの物語で何をしたかったのか?について悩んでいました。でも稽古しながら僕自身、人を信じて生きることの大切さを学んで。誰しも“黒歴史”があるけど、それを受け止め背負って生きていくのがグレイなのかなと、今は考えています」と述べる。 萩原は「原作を読んで『新しいことをやると文句を言う人は昔からいるんだ』と思いました」と笑いを誘いつつ、「自分の道を行くフローと、男の理想のようなカッコよさを持つグレイのコンビが魅力的」「フローもグレイも他人と出会い、交流することで変わっていく。誰かと関わることの良さを生の舞台で感じてもらえたら」と思いを口にした。 シュワルツは本作のテーマを「我々はいかに人を癒やせるか、また互いをどのように癒やせるかということ」だと言い、「誰かを愛することに抵抗があったフローとグレイは、旅の中で変化していき、幕切れでようやく『自分は人を愛せるのだ』と気付く。その軌跡を描いたストーリーです」と語る。またマンガを舞台化するにあたって大切にしたいことを尋ねられると、シュワルツは「原作の藤田先生と初対面したとき、『私が描いた2次元のマンガを3次元にしてください』とおっしゃっていた。藤田先生の絵に強く影響されていますし、毎日原画を見ながら稽古場に入り、マンガを演劇的な“言語”に変換しています。マンガを完全再現するわけではないけど、原作をそのまま踏襲している場面もあるので、原作ファンの方に『ああ、あのコマだ!』と思ってもらえたらうれしい」と笑顔を浮かべた。 吉田代表取締役は「この物語には劇団四季のテーマ『人生は生きるに値する』とのつながりを感じる。稽古を観ていてもウルッと来るので本番が楽しみ」と期待を寄せる。また吉田代表取締役は「藤田和日郎先生のマンガには男性ファンが多い。劇団としても男性ファンを開拓したいので、突破口になれば」と話しつつ、「まずこの作品をヒットさせ根付かせたい。そのうえで海外展開も考えられたらと思っています」と展望を明かした。 ミュージカル「ゴースト&レディ」の公演は5月6日から11月11日まで東京・JR東日本四季劇場[秋]で行われる。 ■ 劇団四季 最新ミュージカル「ゴースト&レディ」 2024年5月6日(月・振休)~11月11日(月) 東京都 JR東日本四季劇場[秋] □ スタッフ 原作:藤田和日郎「黒博物館 ゴーストアンドレディ」(講談社「モーニング」) 脚本・歌詞:高橋知伽江 演出:スコット・シュワルツ 作曲・編曲:富貴晴美 振付:チェイス・ブロック イリュージョン:クリス・フィッシャー □ 出演 フロー(フローレンス・ナイチンゲール):真瀬はるか / 谷原志音 グレイ:金本泰潤 / 萩原隆匡 ジョン・ホール:瀧山久志 / 野中万寿夫 デオン・ド・ボーモン:岡村美南 / 宮田愛 アレックス・モートン:ペ・ジェヨン / 寺元健一郎 エイミー:木村奏絵 / 町島智子 ウィリアム・ラッセル:内田圭 / 長尾哲平 ボブ(ロバート・ロビンソン):菱山亮祐 / 平田了祐 ※キャストは東京公演の出演候補者。