まじめに頑張る人ほど苦戦…「できる営業」は何が違う? 2万人調査で見えた「できない営業」の原因
営業の人たちの努力が報われてほしい
最後が「検討しますの仮面」です。先ほども申したとおり、「とりあえず社内で検討します」というのはお客様の一時的な現実逃避です。したがって、正しいアプローチとしては、単に待つのではなく、お客様がリアクションしやすい「助け舟の小さな一歩」を提示することです。 まじめさ以外の武器が少ないと、お客様から言われたことを忠実にこなして努力でカバーしようとしがちです。でも、言葉の裏側にある本音は必ずしも同じだとは限らないので、「言われたことへまじめに応える」だけでは成果が出づらいのです。 ──まずは仮面の存在を知るところからですね。どうしたら気づけるようになるのでしょうか。 「お客様が本当に求めていることは何か」を考えることですね。「言葉ではこう言っているけど、もしかしたら違うことを考えているかもしれない」という疑問を持つのが大切です。 本当のお客様理解とは、「表面的なセリフにそのまま従う」ことではなく、「言葉の裏にある本音をつかむ」ことです。 ──本書をどのような方に読んでもらいたいですか。 がんばっているけど結果が出ない、という方に読んでいただきたいですね。本書は「こんなに簡単にうまくいきます」というショートカットを提示する本ではなく、成果をあげて楽しく仕事ができるようになるための本という位置づけです。 本書には「がんばる人の応援歌になりたい」ということを書いていますが、がんばってもうまくいかない人に光が差すような本になったら嬉しいです。営業の人たちの努力が報われてほしい、その手助けをしたいという思いで書きました。 ──高橋さんにとっての「営業の楽しさ」とは、どのようなものでしょうか。 「発見」でしょうか。私は、営業という仕事には発見の面白さがあると思っています。 難しさがある分だけ、発見の「種」もたくさんあります。営業には1日の間で試す場面が山ほどあるので、「この本のこれを試してみよう」といろいろチャレンジしてみてほしいですね。「こうしてみたらうまくいった」というのは、発見の喜びのひとつです。 <高橋浩一(たかはし こういち)> TORiX株式会社 代表取締役 東京大学経済学部卒業。外資系戦略コンサルティング会社を経て25歳で起業、企業研修のアルー株式会社に創業参画(取締役副社長)。事業と組織を統括する立場として、創業から6年で70名までの成長を牽引。同社の上場に向けた事業基盤と組織体制を作る。 2011年にTORiX株式会社を設立し、代表取締役に就任。これまで4万人以上の営業強化支援に携わる。 コンペ8年間無敗の経験を基に、2019年『無敗営業』、2020年に続編となる『無敗営業 チーム戦略』(ともに日経BP)を出版 、シリーズ累計9万部突破。 2021年『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)、『気持ちよく人を動かす』(クロスメディア・パブリッシング)、2022年『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?』(KADOKAWA)、2023年『「口ベタ」でもなぜか伝わる 東大の話し方』(ダイヤモンド社)、2024年4月『営業の科学』(かんき出版)を出版。 年間200回以上の講演や研修に登壇する傍ら、「無敗営業オンラインサロン」を主宰し、運営している。 <flier編集部> 本の要約サービス「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。 通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されており、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。 このほか、オンライン読書コミュニティ「flier book labo」の運営など、フライヤーはビジネスパーソンの学びを応援しています。