崖っぷちのド軍が「全く違うものに」 専門家が大谷の一振りを絶賛…「充実している証」
「ホームランを打つことだけがチームへの貢献ではない」
大谷はその後、4回の第3打席でパドレス3番手の左腕モレホン、6回の第4打席では4番手の右腕エストラダから、いずれも四球を選んだ。8回の第5打席は、6番手の左腕ペラルタの内角低めへのシンカーに、空振り三振に倒れた。 新井氏は「第2戦までは余計な力みがうかがえ、高めのボール球に手を出すシーンも目立った大谷ですが、この日は、高めのボール球を空振りしたのは第5打席の初球だけ」と分析。「大谷もナ・リーグの今季本塁打王ですから、ポストシーズン4本塁打を放っているパドレスのタティスのように、ホームランを量産したいと考えてもおかしくない。しかし、走者が得点圏にいる時にタイムリーを放ち、先頭打者の時に四球で出塁することも、チームに貢献する上で重要なことです。強引にならず、状況に応じてやるべきことができていると思います」と高く評価する。 大谷はこの地区シリーズ4試合で、打率.250(16打数4安打)、1本塁打、4打点、2四球だが、奮闘ぶりはその数字だけでは測れない。この日、4回1死走者なしから四球で出塁した後、続くベッツのごく普通の中飛で、タッチアップし二塁を陥れてみせた。集中力が研ぎ澄まされ、相手のわずかな隙も見逃さない。 「『10月にヒリヒリする戦いをしてみたい』と語ってきた通り、チームの勝利のためのプレーを真摯に続けています」と新井氏は評する。運命を決める11日(同12日)の第5戦でも、大谷の存在が勝敗に大きく関わることは間違いなさそうだ。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki