角田裕毅「ミステリーみたいなレース」でずるずる後退 気づけばライバルに12秒も差をつけられた
【わずかなミスで週末を棒に振ってしまった】 ライバルより7周ほどフレッシュなタイヤで追い上げるはずだった最終スティントも、ハードタイヤのペースは思いのほか伸びず、14位のままレースを終えた。 「先行していたダニエルはアンダーカットをするために早めにピットインさせることにして、裕毅は早くピットインするメリットがないから長くステイアウトさせて、3スティントを均等割でタイヤのパフォーマンスを最大限に使う戦略を採ったんだ。最後にタイヤのアドバンテージを使って追い上げることができればと思ったんだけどね」(エドルス) 角田としては、予選のわずかなミスがこのような大きな差につながってしまった。それが自分のせいだということがわかっているだけに、自分自身と真摯に向き合い、成長するしかない。 「自分のパフォーマンスを最大限に引き出せなかった部分もありました。いろいろと学んで、これからに向けて修正していきたいなと思います」 それでも2台で収集したデータが、さらなるマシン改善につながることは間違いない。アップグレードパッケージにはまだポテンシャルがあり、RBが得意とする低速コーナーも少なくない次戦イギリスGPで、しっかりとそのポテンシャルを最大限に引き出すべく「チームは懸命な努力を続けている」と、エドルスは語る。 「まだまだ学習の途上だし、これからさらにしっかりとデータ分析を進めていく必要はある。このアップグレードパッケージのポテンシャルを、まだすべて引き出しきれていないからね。 そのパフォーマンスを最大限に引き出すためには、セットアップ面をさらに改善する必要があることも理解している。セットアップとドライビングを適応させていくことで、さらにポテンシャルを引き出していけるはずだ」 角田としては、チームのために大きな自己犠牲を払い、挽回のチャンスがありながらも自分のミスで棒に振ってしまった週末。 その悔しさと苛立ちは、ただの感情ではなく、自身の成長へと変えて次に進むしかない。
米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
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