角田裕毅「ミステリーみたいなレース」でずるずる後退 気づけばライバルに12秒も差をつけられた
【曲がりきれずに高速スピンを喫した代償】 ビークルエンジニアリング責任者のジョナサン・エドルスはこう説明する。 「ダニエルが(新型と旧型の)ミックス仕様で、裕毅は旧スペックだ。それらがどのように機能しているかについては、理解を深めることができたと思っている。 スプリントレースのあとは、かなりのセットアップ変更を施した。だが、それは空力パッケージではなく、今週末ここまでの走行のなかで抱えていた課題を改善するための変更だ。先週のバルセロナと比べても、そして今週の金曜日と比べても、予選・決勝のほうがうまく機能していたと言える」 金曜午後のスプリント予選、角田はターン7出口の縁石でフロアを破損し、直後のターン9で曲がりきれずに200km/h超えの高速スピンを喫する場面があった。 そのせいでスプリント予選とスプリントレースを棒に振ったばかりか、コースオフで外部からの衝撃を受けたパワーユニットも確認のためHRC Sakuraに送り返すことになり、最もフレッシュなエンジンから最もマイレージの進んだエンジンに交換せざるを得なかった。 ホンダのパワーユニットは、ライバルに比べて走行距離による出力低下がほとんどないとはいえ、まったくのゼロではないため多少の不利もあった。 決勝では、11番グリッドスタートのリカルドは早めのピットストップでアルピーヌ勢をアンダーカットし、ハース勢と戦いながら最終的に9位フィニッシュを果たした。 角田は逆に、第1スティントを可能なかぎり引っ張る戦略。一旦は後方に下がったもののタイヤ差を生み出して、ペース的には優位にレースを進めた。 だが、2回目のピットストップでライバルの後手を踏み、なおかつピットアウト時にクラッチのトラブルで加速が遅れた。アウトラップでランス・ストロール(アストンマーティン)にも抜かれ、気づけばピットイン前に争っていたアルピーヌ勢から12秒も差をつけられてしまった。 「スタートはよくて、途中まではアルピーヌ勢とダニエル(・リカルド)のうしろを走っていて、最初のスティントは悪くなかった。ですけど、2回目のピットインするタイミングが遅かったです。ピットアウトしたらアルピーヌ勢のはるか後方で16位まで落ちていたので、いったい何が起きたのかわかりませんでした。ミステリーみたいなレースです」
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