【惜別・叶井俊太郎】世界46か国以上で上映禁止! 映画史上最悪の鬼畜ホラー映画
漫画家・倉田真由美氏(52歳)の夫で映画プロデューサーの叶井俊太郎氏(享年56歳)が今月16日に死去した。2022年6月にステージ3の膵臓がんと診断を受け、医師から「余命半年」の宣告を受けていた。「がん」公表後も変わらず、精力的に映画製作に携わり続ける生粋の仕事人だった叶井氏。哀悼の意を表して集英社オンラインでのインタビューをお届けする。全世界46か国以上で上映禁止! なぜ叶井氏はそんな悪名高き映画を買い付けたのか直撃した。 【画像】「必ず自己責任でご覧ください。精神や肉体に以上をきたしても、責任は追えません」という注意書きも
こんなヒドい映画は観たことない!
アメリカのエンターテインメントサイト「whatculture.com」の「2000年以降に製作された物議を醸す映画20本」(2014年)で堂々の第1位に選出されたハードコア・スリラー映画。 その名も『セルビアンフィルム』。 同ランキングでは、日本からも深作欣二監督作『バトルロワイヤル』が第19位、三池崇史監督作『ビジターQ』が第5位に選出。そんな名作を上回ることから、この映画がタダならぬ映画であることはうかがい知れる。 実際に映画を知る人たちのTwitterの反響も大きく、伝説のトラウマ映画という声もある。 「今月セルビアンフィルム上映するんだ。あれは劇場ではみれないな。てか私はもう観れないな」【言葉を喋るグラボイズさん】 「セルビアンフィルム、ニコ生で観たけど相当キツい映画だったのにリマスターやるんですか…?ほんとに…?」【もことよんこさん】 「タブー描写の大安売り!劇場で観てたら大の大人がトイレに駆け込みましたからねぇ…」【ネズミツオさん】 「『マイスモールランド』を観て号泣した同じ映画館で『セルビアンフィルム』を観ることを想像したら喜怒哀楽がぶっ壊れそうで既に怖いです…」【Don@30s3m30mさん】 一体どんな映画なのか? なぜ上映されるのか? 買い付けと配給を担当する映画プロデューサーの叶井俊太郎氏に話を訊いた。
日本初上映では異例の満席&立ち見の大盛況
――単刀直入に聞きますが、なぜこんな「胸糞悪い」と評判の映画を買い付けてきたんですか? この映画の日本初上映は2012年で、当時は上映期間中にめちゃくちゃ盛り上がったんですよ。同年12月に閉館したシアターN渋谷という劇場では満席で立ち見も出るくらいの盛況ぶりでした。その時は「R20指定」として、注意書きが出たりもしてね(笑) 「本作は20歳未満の方はご覧いただけません。本作品には、倫理的にも表現的にも最悪の描写が含まれております。20歳未満の方には、決してお見せ出来ません。また20歳以上の方であっても、心臓の弱い方や体調の優れない方のご鑑賞はお勧めできません。くれぐれもお客様各自の責任においてご鑑賞下さい」 映画を観た人たちの感想が「エグすぎた!」とか「本当にヒドい!」とか、そんな反響ばっかりだったんですよ。そんなただでさえヒドい映画が今回「4Kリマスター」になってさらにクリアに、鮮明にヒドいシーンが観られるわけですよ。正直、どうなってるんだろう……そして、何を考えてるんだろうと……(笑)。その心意気を買って、これは映画館で観るために配給しないと損でしょ!ということで買い付けました。 ――日本初上映の際に観た映画が「4Kリマスター」になると、どういう映像になるのか気になったんですね(笑) いや、オレは映画観てないよ。だって、なんか怖いじゃないですか。 ――え? 映画を観ていないのに買い付けてきたんですか? はい、予告編だけしか観てません。観るつもりもありません。