在職老齢年金の「支給停止調整額」今年は50万円に引き上げ!けど廃止になるって本当?
2024年度は支給停止調整額が引き上げに
2024年度の年金額は、近年の物価や賃金の上昇の影響により、前年度から2.7%の増額改定となりました。 同時に在職老齢年金の支給停止調整額も、48万円から50万円に引き上げとなっています。 ●在職老齢年金の支給停止調整額 2023年度の支給停止調整額は48万円だったため、2万円増額されることになります。 これらをふまえ、在職老齢年金により年金額がカットされるかどうかのフローチャートは下記のようになります。 代替テキスト:在職老齢年金により年金額がカットされるかどうかのフローチャート 上部キャプション:在職老齢年金により年金額がカットされるかどうかのフローチャート ●在職老齢年金による調整後の年金支給月額の計算式(2024年度) ・基本月額と総報酬月額相当額との合計が50万円以下の場合 →全額支給 ・基本月額と総報酬月額相当額との合計が50万円を超える場合 →基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円※)÷2 たとえば、基本月額が10万円で総報酬月額相当額が40万円、合計額50万円の場合、合計額が50万円以下のため年金の全額支給となります。 しかし、基本月額が10万円で総報酬月額相当額が41万円、合計額51万円の場合、合計額が50万円を超えるため、年金額が一部減額されることになります。 なお、2023年度までは「支給停止調整額」が48万円だったため、前者の「基本月額が10万円で総報酬月額相当額が40万円、合計額50万円の場合」も年金カットの対象となっていました。 支給停止調整額「50万円」が適用となるのは、2024年6月14日に支給される年金からであるため、該当する方は一度確認しておくことをおすすめします。
将来的に「在職老齢年金」が廃止になるって本当?
厚生労働省は財政検証で、在職老齢年金について、廃止を含めた見直しを検討する方針を示しました。 「財政検証」とは、厚生労働省が5年に1度行ってるもので、公的年金制度の長期的な財政の健全性をチェックする目的で検証がされています。 この財政検証で、国民年金の納付期間を延長して45年にした場合、将来の世代がどのくらい年金額を受け取れるようになるか、試算が行われるということです。 現行の在職老齢年金においては、65歳以上の働くシニアの収入と厚生年金の合計額が月に50万円を超えた場合、年金額がカットされます。 このことから「働き損をしないように就業調整をする」シニアは多くいます。 しかし、近年では少子高齢化が深刻化しており、人手不足となっている背景から、厚生労働省は廃止の検討をしています。 財政検証の結果は、2024年の夏頃に公表される見通しであるため、今後在職老齢年金がどのように変わるのか、もしくは廃止が決定となるのか注目が集まっています。