慶大ラグビー部、23日に早大戦 中山主将、集大成のシーズン「愚直にプレーし続ける」
ラグビーの関東大学対抗戦の慶大-早大は23日、東京・秩父宮ラグビー場で行われる。開幕から3連敗を喫した慶大だが、その後は2連勝。上昇気流に乗りつつあるチームが重要な試合を迎える。卒業後は第一線を退くフッカー中山大暉主将にとってはラグビー人生集大成のシーズン。「手ごわい相手に対し、いかに泥臭いラグビーをして勝つか」と宿敵との戦いを見据える。 今年が創部125周年となる日本ラグビーのルーツ校は対抗戦今季初戦となった9月15日の筑波大戦に12-34で敗れた。だが、これで原点に立ち返ることができたという。 相手に抜かれることを警戒するあまり、伝統の防御が中途半端になっていた。「自分たちがやりたいのはやっぱり前に出る防御。そこをやりたい」。選手たちから声が上がった。 明大、帝京大にも敗れて3連敗となり、苦しい時間を過ごす間も軌道修正は進み、その後は2連勝と立て直しつつある。 そんなシーズンを送る中で、中山が主将として心がけているのは「チームで決めたことを率先してやること」。象徴的なのが、防御でみせる姿勢だ。「抜かれてもすぐに戻るのが慶応ラグビー。きついですけど、僕が逃げたら誰もやらない」と言い切る。 青貫浩之監督は「自分の行動、発言に対する責任感や、周囲に対する厳しさが出てきた」と評価する。 プレーでも言葉でもチームを鼓舞できる中山にはリーグワンの複数のチームから誘いがあったが、卒業後は第一線のラグビーから離れる道を選んだ。 今季がラグビー人生の集大成となるだけに「やっていない後悔はしたくない。一つ一つのプレーでも後悔しないというところを意識している」と明かすが、シーズンも佳境に入り、いよいよ伝統の一戦を迎える。 相手の早大は大学王者、帝京大に48-17で大勝するなど全勝を維持し、充実ぶりが際立つが、ひるむことはない。 青貫監督が「ラグビー関係者は誰も慶応が勝つとは思っていない。そこで勝つのが慶応のアイデンティティーというか、大学ラグビーの面白さ」といえば、中山主将は「どうすれば最大限の力を出せるか。愚直にプレーし続ける」ときっぱり。黒黄のジャージーの誇りを胸に勝負に挑む。(橋本謙太郎)