声で健康状態を可視化へ 福島県田村市拠点のリスク計測テクノロジーズ 解析システム開発目指す
福島県田村市に開発拠点を持つ「リスク計測テクノロジーズ(リムテック)」(本社・横浜市)は、声からその人のストレスなどの健康状態を可視化する音声解析システムの開発を目指す。心の病などの兆候を把握し、発症防止につなげる。 同社は、既に約5秒間の発声から喜び、悲しみ、怒り、緊張など八つの感情を数値化する仕組みの開発に成功している。さらに、蓄積した約70万件のデータを基に、声の周波数などを分析する独自の計算法の開発を進めており、声のAI解析によってストレスの度合いや心理状態などを詳細に計測し、健康状態を把握できる技術を確立させる。 同社は、岡崎貫治代表(45)が銀行や監査法人などの勤務を経て2019年に設立した。ストレスの測定に客観的な音声を使うことに着目し、データを積み重ね、独自の解析技術の開発に取り組んでいる。今年度、田村市に研究開発拠点を設け、県の地域復興実用化開発等促進事業費補助金に採択された他、東邦銀行と日本政策金融公庫の協調融資を受けた。田村市の協力で市職員の声のサンプル50件の提供を受け、今後は市内で高齢者が集うサロンなどの協力を得てデータ収集を進める。
将来的には高齢者の認知症を予防したり、言葉を覚えていない赤ちゃんの鳴き声で健康状態を判別したりできるシステムを実現させたい考え。岡崎代表は「日本では病気になってから対応する傾向があるが、自分たちの技術で未然にリスクを防ぐことで県民の健康向上につなげたい」と話す。