サッカー消えた天才の明暗「アルコール依存と闘う」問題児MF、“練習サボりがちパサー”と“母思いの走らない司令塔”は今、意外な職に
サッカー界で“消えた天才”と呼ばれるテクニシャンは今も昔も数多い。一時代を築いたプレーメーカーは今、何をしているのだろうか。雑誌「Sports Graphic Number」「NumberWeb」掲載記事の言葉とともに、一瞬の輝きを見せた全盛期と今を知る。 【写真】「ガスコインの腹筋、バキバキだったけど…」アルコール依存症と戦う今の姿や、俊輔と親愛ハグする“スペインの天才パサー”、走らない司令塔リケルメの愛されまくりな今も見る <名言1> 自分は、キャリアの中で、実際に何度も道を誤ってきたからね(笑)。 (ポール・ガスコイン/NumberWeb 2007年3月14日配信) https://number.bunshun.jp/articles/-/12852 ◇解説◇ 世界最高峰のレベルを保つイングランド・プレミアリーグ。ハーランドにファンダイク、遠藤航や三笘薫に冨安健洋、ソン・フンミンなど世界各国のトッププレーヤーが集う。 一方で近年はホームグロウン制度もあって、自国の有望株も多い。ハリー・ケインやデクラン・ライス、さらにはレアル・マドリーで輝くジュード・ベリンガムなどを擁するイングランド代表は、6月に開幕するEURO2024制覇の期待もかかる。
問題児パサーは今、アルコール依存からの回復に…
そんなイングランドでプレーメーカータイプが出てくると、たびたび名前が挙がるのはポール・ガスコインだった。 80年代半ばにニューカッスルでデビューを飾ったガスコインはキック&ラッシュの時代だったイングランドにおいてきめ細やかなボールタッチとパスで勝負する稀有なタイプで、「イングランド史上、最も才能に恵まれたフットボーラー」と呼ばれるほどだった。実際その才能を生かして1990年W杯では中盤を取り仕切り、母国のベスト4に大きく貢献。準決勝ドイツ戦でイエローカードを受けて涙を流す姿に人気は爆発した。 ただし、ピッチを離れると問題行動の連続で、若き日から節制せず“ポッチャリ”しがちで監督から食事制限を命じられたり、98年フランスW杯でのメンバー落ち以降はアルコール依存症と鬱病を発症するなど、プレーではなくナイーブな内面に注目が集まるようになってしまった。 引退後、ガスコインは冒頭の言葉通り「何度も道を誤ってきた」とキャリアを振り返ったものの、度重なる飲酒運転や薬物所持などでの逮捕など、その後の人生でも苦しんでいる。 2024年に入って「High Performance Originals」というポッドキャストに出演した際にはアルコールと離れた生活を送っていると語った。自己破滅的だった生き方から回復しようと励むとともに、イングランド代表の試合を観戦する姿も写真に収められている。