500万円超の最高級ハーレーダビッドソンが凄い!!! 新型CVOシリーズの進化に迫る
高性能オーディオを積極的に楽しみたい
このあたりの捉え方は乗車姿勢や体格にもよって変わってくるはずだが、クルーズコントロールを使用してのロングクルーズを目的とするならロードグライドになるだろう。とりわけオーディオを聞いているときに、風の巻き込み音がロードグライドの方が大幅に少ないことのメリットを享受できる。 両車ともApple CarPlay対応の「ウルトラ・アーキテクチャー」を標準で備え、それにはロックフォードフォズゲート製のプレミアムオーディオシステムが含まれる。高速クルージングしながらApple CarPlay経由でApple Musicの好きなメニューを楽しめるわけだ。 ロックフォードフォズゲートのスピーカーはかなりの大径で、フロントカウルやリアのサイドケース内で大きな面積を占める。ハーレーが音楽を聞かせながらクルージングさせることを大きなアドバンテージにしたいと言う意向の表れだろう。ソースにもよるが時に絶妙なバランスで前後/左右からライダーを包み込み、キーの高い男性ボーカルなどは最高だ。クルーズコントロールと併用すれば、そのまま陸地の続く限りどこまでも走っていけそうな特別な没入感をもたらしてくれる。 速度に応じて音量を調整してくれる機能を備えるが、信号待ちや静かな山道では意識してボリュームを控えめにしておいた方が文化的かもしれない。 むろんオーディオに頼らずとも、ハーレーのVツインサウンドはとても魅力的だ。45度という独特なバンク角度がもたらすスキップを踏むようなビートと、まろやかなエグゾーストノートがスロットル開度やエンジン回転数に応じて絶妙にからみあう。このエンジンとハイクオリティなオーディオのミックスは、独特な振動とともにライダーを喜びの世界に誘う。 新しいCVOは、スタイリング、ハンドリング、パワーユニットの全ての面で、熟成されたマイルドさを打ち出したモデルになった。無骨さ、不器用さを排除して、世界最高のクルージングバイクを目指した作品であり、ヨッヘン・ツァイツCEOが「3年をかけて熟成し、まったく別物に生まれ変わった」と表現したのも頷ける出来だった。
文・田中誠司 編集・稲垣邦康(GQ)